猫を飼っている人はもちろん、そうでなくても猫が箱や小さな容器にすっぽりとはまっているのを一度は見たことがあるのではないでしょうか?箱の中から顔を見せる姿はなんともいえず可愛いですよね♪「もし入れるのならば入るべし」とまるで猫の流儀とでもいうように箱を見れば中に入ります(笑)。でも猫たちは私たちに可愛さをアピールするために箱に入る訳ではありません。どうして猫は箱が好きなのでしょうか?今回はその理由としてあげられているいくつかの説を紹介したいと思います。
野生時代の名残から
長い間私たちと共に生活している猫たち。農耕生活をするようになった人間が収穫した穀物を保存していた倉庫のネズミ駆除のために飼い始め家畜化されたのが始まりだといわれていますが、もともとは野生で暮らしていました。ネズミや野うさぎなどの小動物や昆虫を獲物とする狩猟生活を送っていた猫たちは狩りをしたり、外敵から身を守るために木のうろや茂みに身を隠して、獲物を狙ったり、寝床にしていました。野生時代の名残から、周りを囲まれた箱は獲物にも気づかれず、敵にも襲われない守られた場所、安心できる場所だと本能的に感じるようです。猫が頭から箱や袋に入っても中で方向転換をして顔を出口に向けることのが多いのは、敵が来たときに素早く逃げられるようにするためだといわれています。ちなみにトラやライオン、ヒョウなど野生のネコ科の動物たちも箱を与えると興味を示し、叩いたり、中に入ったりするといいます。箱が好きなのはネコ科の動物に共通の習性のようです。
生まれたときの環境から
猫は生まれたとき母親にピッタリと寄り添い、兄弟たちとミルクを争い、上になったり、下になったりとまさにおしくらまんじゅう状態。潰されないかな?息はできるのかな?と心配になりますよね。生まれたばかりの子猫は自分でうまく体温調節することができません。子猫にとっては母猫にくっつき、兄弟に囲まれた隙間のない環境のおかげで体温も保たれ、また安心し守られているように感じ快適なのです。そのため猫はピッタリとフィットした空間が好きだといわれています。
ひとりになりたい、静かに過ごしたいから
猫は狭い場所にいるときエンドルフィンが分泌され、幸せを感じるといわれています。エンドルフィンとは神経伝達物質のことで、快感作用・鎮痛作用があり、脳内モルヒネとも呼ばれ、多幸感をもたらします。エンドルフィンは欲求が満たされ、気持ちがいいと感じると分泌されます。また脳を活性化し精神的なストレスを軽減させ、免疫作用もあるといわれ、エンドルフィンを正常に放出させることは私たちにとってもとても大切なことだといわれています。そして長時間走り続けていると気分が高揚してくる「ランナーズハイ」もエンドルフィンの分泌によるものだという説があります。狭くて適度に暗く、身を隠すことのできる周りを囲まれた箱は猫にとって安心できる、落ち着ける場所なのです。
オランダで行われた実験では箱が猫のストレスを軽減させる働きがあるという結果が出ています。実験はアニマルシェルターに保護された猫たちを2つのグループに分けて1つのグループには箱を与え、もう片方のグループには箱を与えないというもの。その結果、箱を与えられた猫たちのストレス値は箱のないグループよりも低く、今までと違う環境や人間にも興味を示し、新しい環境によりスムーズに、より早く慣れることができたそうです。
中が気になる!中を覗きたい!という好奇心から
猫は箱の他にも紙袋やビニール袋など何にでも顔を突っ込みますよね♪中に何が入っているのか、獲物が隠れているのではないかと、狩猟生活を送っていた名残から本能がかきたてられるようです。また猫はとても好奇心旺盛な生き物です。だから明らかに自分の体よりも小さい箱や容器にも果敢に挑み体を押し込めますよね。窮屈そうに見えますが、体がフィットして心地よく感じるようです。
暖かさを求めて
猫も私たち人間同様快適な、過ごしやすい温度があります。私たちは暑いときには汗をかいて熱を発散させて体温を調節しています。猫には汗をかく汗腺が足の裏にしかなく、口を開けてハアハアと息をするパンティングによって体温を調節します。また、寒いときにはジバリングと呼ばれる、筋肉を小刻みに収縮させる行動によって体温を上げています。
私たちにとっては室内温度が20度〜25度くらいだと快適に感じることが多いといわれていますが、猫が快適だと感じる温度は湿度などにより変化しますが28度〜35度程度と私たちよりもやや高いといわれます。そのため箱の中に入って暖をとっているという説もあります。
「猫ホイホイ」の謎!
数年前話題になった「猫ホイホイ」。海外でも#CatSquareのツィートで話題となりました。これは床にテープを貼ったり、紐で囲むとそのサークルに猫が入るというものです。テープを貼っただけなのにまるで駐車場にパーキングでもするように囲みの中へ・・・まるで手品!?のようです。でも何故猫たちはサークルの中に収まるのでしょうか?これも猫が箱を好むのと同じ理由からだといわれています。
箱のように実際に何かに四方を囲まれているわけではないので壁はありませんが、床に作られた囲いが猫に興味を持たせるようです。テープで囲まれたスペースは箱を想像させ、それだけで満足しちゃう猫ちゃんも多いようです。まさにバーチャルボックスです♡近くに箱や隠れられる場所がある時はそちらを好むことが多いと思いますが、何もないオープンスペースでは囲いだけでも何もないよりは安心感が増すようです。ただこれはすべての猫に当てはまるわけではありません。全く興味を示さない子もいれば、隠れる場所がないオープンスペースでも特に気にすることなくリラックスしている子もいます。それにしてもとっても不思議な習性ですよねぇ〜。猫を飼っていて、まだ試したことがなかったら、ぜひ試してみては!テープを貼っただけでまるで導かれるようにサークルに入る猫の姿は面白く、実に興味深いですよ♪
猫たちのお気に入りはダンボール!
箱に目がない猫ですが、素材はやはりダンボールが人気のようです。ダンボールは構造上匂いがつきやすいといわれています。外から届いたダンボール箱には色々な匂いが付いているので猫の興味を引き、また、自分の匂いもつきやすいので、より安心できて心地よく感じるようです。そしてダンボール箱は通気性、保温性にも優れています。室内が少し暑いと感じたときや逆に寒いと感じたときにも快適に過ごすことのできる場所なんです。
まとめ
いかがでしたか?猫は適度に暗くて狭いところが大好き!
猫にとってひとりになれる、静かに過ごせる場所はとっても大切な空間です。常に箱を置いておいてあげるのは難しいかもしれませんが、机の下や家具の隙間、ベッドの下などいつでも隠れられる場所を確保してあげるようにしましょう。
箱が大好きな猫たち。オシャレで快適な猫用ベッドを購入してあげたのにAmazonのダンボール箱の方がお気に入り…猫を飼っている人にはわかる猫あるあるですよね(笑)。これは猫の習性なので仕方ありません。そんな愛猫に箱を用意してあげるときには猫のサイズに合わせて箱の中で方向転換のできるもの、また人の出入りが覗ける場所に設置してあげるといいですよ♪