近年は猫カフェも増えており、また全国各地に次々と新しい猫カフェが誕生していますよね。
そんな数ある保護猫カフェの中でも、子猫を積極的に受け入れておられるのが、岐阜県各務原市にある、「こねこカフェ Sanctuary(サンクチュアリ)」さんです。
今回は、実際にサンクチュアリさんを訪問し、店長の田口美穂さんへインタビューを行いながら、お店の魅力などをうかがってきました!
そもそも「こねこカフェ Sanctuary(サンクチュアリ)」ってどんなお店なの?
サンクチュアリさんは、保健所に収容され、殺処分予定になっている子猫などを保護し、新しい家族を探す事を第一の目的としている保護猫カフェです。
実際に、2015年の7月に開店されてから2年間で700匹以上もの猫たちを保護され、里親探しに励んでおられます。
そして、店内では常時30匹前後(多いときは50匹以上)の猫たちがお出迎えをしてくれるのもサンクチュアリさんの特徴です。その猫たちのほとんどが、素敵な里親さんとの出会いを待っているため、「猫をおうちに迎えたい」と思っている方にとっては、大切な出会いの場にもなっています。
また、サンクチュアリさんは「癒し」をテーマにされているので、猫を飼う予定がない方も落ち着いた雰囲気の店内で楽しいティータイムを満喫できるのが魅力です。
サンクチュアリさんが行っている保護活動とは?
まずは保健所から引き出し
サンクチュアリさんは保健所から連絡を受け、収容されている猫たちを引き出しに行かれています。
実際に保健所で収容され、殺処分の対象となっている子は、どの子も心細そうな表情を見せているよう。
子猫の中には泣き叫んだり、ケージに掴まったりして、外へ出たがっている子もいます。
小さな体で必死に生きようとしている子猫たちの姿に、胸がつまりますね。
さらに、サンクチュアリさんは、健康そうに見える猫だけでなく、状態が悪かったり、負傷している猫たちもできる限り保護しておられます。
また、収容されている猫たちは恐怖心で、どの子も表情がこわばっており、警戒心満載な表情からは、猫たちが感じている悲しさや辛さも伝わってくるようです。
一時預かり後にお店へ
猫たちは保健所から引き出された後、通常はボランティアさんに一時的な預かりをしてもらい、症状に応じた医療的ケアを受けます。
しかし、弱っていたり、負傷していたりする場合は即入院することもあるのです。
狭いケージの中から出れただけでも、猫たちの表情は全く違うように見えますね。
このような乳飲み子の場合は生後2ヶ月近くになり、ワクチンが打てるようになってから、お店にやってきます。
なお、すでに生後2ヶ月以上経っている子猫の場合も、2週間以上ボランティアさんに預かって頂き、体調を整えてからカフェにやってくるそうです。
このように、猫の体調をきちんと考えながら保護活動や譲渡をされているのも、サンクチュアリさんの素晴らしいところだといえるでしょう。
また、小さな乳飲み子を育てるときは、スタッフさんやボランティアさんたちが哺乳瓶でしっかりとミルクを与え、子猫がすくすくと成長できるよう、サポートをしておられます。
こちらの三毛猫さんは実際に、暖かい愛に包まれながら、愛くるしい子に育ちました。
人間相手に向けられる愛くるしい表情を見ていると、人間のほうが学ばなければいけないことが多いような気がしますね。
実際にサンクチュアリさんで猫カフェ体験!
サンクチュアリさんは、各務原市の鵜沼西町にあり、周りには平和堂やオンセンドーといったショップが並んでいます。
また、国道21号線からもアクセスしやすく、最寄には鵜沼宿駅もあるため、車でも電車でも訪れやすいでしょう。
お店の前では、かわいらしい猫の置物がお出迎え。
駐車場付近には猫が描かれたのぼりも立てられており、お店を見つける目印にもなってくれています。
実際に入口へ近づいてみると、芝の上に置かれたかわいらしいピンクの肉球が!
店先に置かれたカフェボードもおしゃれ感満載で、入店前からわくわく感が高まります。
思う存分、外観を堪能し、店内に入るとまず初めに手洗い場が設置されていました。
猫の感染症予防のために、スプレーで消毒を行う保護猫カフェは多いものです。
しかし、本格的な手洗い場が設けられているところはあまりないので、素晴らしい発想に思わず驚いてしまいました。
こうしたお客さんへの細やかな気配りからも、猫たちが大切にされていることが伝わってくるような気がしますね!
カフェスタイルの店内で癒しを補給!
手洗いを済ませた後は、いよいよ店内へ。
お店の中はカフェスタイルでまとめられており、広々とした印象を与えます。
入口の正面にある小部屋では外を眺められるため、猫たちも自由に出入りしていました。
たくさんの猫たちを独り占めできるこちらのお部屋は、居心地もバツグンです。
そして、カフェ感満載な照明や店内を映し出す大きな鏡などのおしゃれアイテムと共に、目についたのがこちらのキュートな椅子。
まるで猫の尻尾を連想させるかのような椅子はソフトな素材のため、座り心地もばっちりです。
こちらの椅子はお客さんだけでなく、猫たちもお気に入りのよう。
椅子の上で無防備に眠っている姿もたくさん見かけられました。
周りに置かれた猫用のおもちゃを見ていると、おしゃれなだけでなく、猫たちが居心地よく過ごせるよう配慮されていることが分かり、とても温かい気持ちになりました。
猫も人も満足なドリンクスペース!
こうした光景を楽しみながら席につくと、店員さんがドリンクの注文を取りに来てくださり、お菓子とともに運んできてくださいました。
出てきたカフェプレートも猫の形をしており、お客さんの心を弾ませてくれます。
サンクチュアリさんでは初めの一杯は店員さんへの注文となりますが、おかわりはお菓子もドリンクも自由なため、店内にはドリンクスペースが設けられているのも特徴です。
おしゃれに仕切られたドリンクスペースは、カフェ感も満載!
実際にドリンクスペースに行ってみると、ジュースやコーヒーなどが設置されており、どれを飲もうか迷ってしまいました。
ドリンクの向かい側にはお菓子も置かれており、近くには猫雑誌も用意されているため、自分の好きなスタイルでティータイムを満喫できることに心地よさを感じました。
そして、ドリンクスペースの近くには猫の水飲み場やご飯台も設置されているため、ドリンクのおかわりを注ぎに行った帰りには、猫たちの幸せそうな姿を見ることもできます。
小さな体で食事する姿を見ていると、「元気に育ってね」と思わず応援したくもなりました。
人懐っこい猫たちがお出迎え!
店内を堪能し、猫たちと触れ合おうと思った私の目に飛び込んできたのが、仲良く寄り添いながら眠る猫たちの姿でした。
思い思いの場所でゆったりとくつろぐ猫たちは、無防備な姿もたくさん披露してくれます。
仲良く眠る猫たちを見たお客さんからは終始、「かわいい」という声が飛び交っていました。
そして、中にはこんな風にへそ天姿を見せてくれる子も!
うっとりとしたお顔見ていると、こちらまで笑顔になってしまいますね。
また、猫ベットで寝ていた猫ちゃんたちは仲良し親子なため、一緒に引き取ってくれる里親さんを募集しておられるようでした。
猫用ベッドで熟睡する2匹は、一緒に素敵な家族ができる夢を見ているのでしょうね。
私がサンクチュアリさんを訪れて一番強く思ったのは、人懐っこい猫が多いということです。
実際に私が触れたときも、こんな風に至福の表情でゴロゴロ音を響かせてくれる子たちが多かったように感じます。
撫でられてうっとりと目を細める猫たちは、甘えん坊ですり寄ってきてくれることもありました。
そして、じっと座っていると私のカバンの傍に寄ってきてくれる積極的派の子も。
私の上着の上にそっと座る無邪気さに、思わず目じりが下がってしまいました。
こんな風に人への警戒心が強すぎないのも、きっと店員さんたちの愛がしっかりと伝わっているからなのでしょう。
看板猫「タマちゃん」が癒しの時間をご提供
また、サンクチュアリさんでは現在2歳とは思えないほどのふくよかボディを披露してくれるお店の猫スタッフ、「タマちゃん」がお客さんを楽しませてくれていました。
眠ったり、起きたり、子猫と寄り添ったりするタマちゃんの自然体な姿は、微笑ましさも満天です。
そんなタマちゃんはおっとりとした性格のようで、キャットタワーでまったりとくつろいでいることもありました。
幸せそうに眠るタマちゃんは、どんな夢をみているのでしょうか。
そして、時には他の子がおもちゃに夢中になっているときでも、毛づくろいをするというマイペースっぷりも発揮!(笑)
もしかしたら、心優しいタマちゃんは他の猫たちにおもちゃを譲ってあげたのかもしれませんね。
こんな風に、個性豊かなキュートスタッフがお出迎えしてくれるサンクチュアリさんは、お客さんにとって至福の癒し空間になりそうな気がします。
【独占インタビュー】店長の田口美穂さんが保護猫カフェに込めた想いとは?
―なぜ子猫専用の保護猫カフェを作ろうと思ったのでしょうか。
保健所に収容されている8~9割くらいは乳飲み子や生後間もない子なんです。
また一般の人から保護の相談を受けるのも、成猫より子猫のほうが圧倒的に多いです。
それを開店前から保護活動で知っていたので、保護→里親に出すをスムーズに繰り返していけば必然的に子猫カフェになるだろうと考えました。
でも、子猫以外が収容されていても保護はしているので、お店には成猫もいます。
―そうした経緯があったのですね。では、子猫が多い保護猫カフェだからこそ、お店づくりのときはどんな点にこだわられたのでしょうか。
子猫だからというわけではないですが、危なくないように配慮しています。
例えば、がっちりとした椅子だと、猫が手や足を挟んでしまう可能性があるので、ソフトな素材のものを選んでいるんです。
そして、高さも低めのものを選んで、怪我をしないように気を付けています。
また、店内には木材が多く使用してあるので、猫たちはそこで爪とぎができるようにもなっています。
―ちなみに「サンクチュアリ」というお店の名前には、どういった意味が込められているのでしょうか。
サンクチュアリという言葉は「聖域」とか「神聖な場所」などといった意味が有名だと思うのですが、他に「動物保護区」という意味もあるんです。
実際に海外では、畜産動物の保護施設である「ファーム・サンクチュアリ」もあります。
そんな風にサンクチュアリという言葉自体が動物保護を意味しているので、保護施設を始めるときは、そういった名前にしようと決めていました。
―そんな意味があったのですね!では、子猫が多いサンクチュアリさんだからこそ、他の保護猫カフェにはない魅力は何だと思われますか。
やっぱりやんちゃ盛りなので遊んでくれる子が多いことですね。
成猫だとおもちゃに興味がなかったり、放っておいてほしい子も多いと思いますが、子猫はおもちゃで遊ぶのが大好き。
なので、一緒に遊べるところが魅力です。
また、みんなが仲良しなことも魅力ですね。
ごくごくまれにささいな喧嘩はありますが、基本的には子猫たちはみんな仲良しで、大人の猫は子猫をかわいがってくれます。
看板猫のタマちゃんのように、子猫のお世話をするのが好きな大人の猫も多いんですよ(笑)
―それに、こちらのお店は人懐っこい子が多いようにも感じます!
実は中には人が苦手な子もいるんです。
でも、そうした子は、猫のトイレが置いてある部屋で過ごせるようになっています。
猫のトイレが置いてある部屋はドアの下に猫用の出入り口が設けられているので、カフェに出ている子もいつでも自由に出入りし、用を足したり、休むことができるんです。
部屋の中には棚が置いてあって、猫たちが自由に寝ています。
やっぱり猫も1日中触られると疲れてしまうし、お店に来たばかりで慣れない子もいるので、猫が自由に行ける隠れ場所を設けることも大切だと思っています。
また、店内には猫の休憩室を設けています。
両サイドにケージが置かれた休憩室では体調の悪い子や、人慣れしていない子がいるんです。
こうした空間を作ることで、人が苦手な猫たちも安心して過ごせるようにしています。
―さきほどタマちゃんの話が出たのですが、タマちゃんのような看板猫はどうやって決めているでしょうか。
オープンしたときからいる子の何匹かは、オープニングスタッフのような感じでお店のスタッフ猫ちゃんになってもらっています(笑)
やっぱり生後間もない頃から自分の手で育てた子なので、何匹かは傍にいてもらいたいなと思って。
実際に、今看板猫になっているタマちゃんも、乳飲み子のときに保健所から引き取った子なんです。
(※子猫時代のタマちゃん)
タマちゃんは子猫の頃の後遺症で今も涙目になったり、目やにがでたりするので、カフェにいてもらおうと思いました。
特別かわいいからとかお店に置いておこうといった気持ちはなくて、性格も考慮しながらスタッフに向いていそうな子を選んでいます。
店舗移転の理由と保護猫カフェに対する想いとは?
―今年の5月にお店の場所を移転されたようですが、その経緯や理由を教えてください。
前は賃貸契約をしたビルの一角で、通販などの事業を行いながらお店も運営していたのですが、猫と一緒に住むには不便なことが多くて。
前のビルは広くてよかったんですが、腰を据えてお店を運営しようと思い、一軒家のこちらに移転しました。
それに、動物病院が近いので通院しやすいという点も決め手になりました。
―そうした理由があったのですね。では、実際にお店を運営されている中で、子猫が多いからこそ、特に気を付けていることなどはありますか。
やっぱり病気には気を付けています。
子猫は成猫に比べて病気にかかりやすくて、急変もしやすいので、ちょっとした猫風邪が命に関わることもあるんです。
あと、保護した時に状態が思わしくない子もいるので、病院にはすぐ連れて行くようにしていますし、健康管理のための通院もマメにしています。
時には獣医さんに往診に来てもらうこともありますし、かかりつけの動物病院もふたつあるので、使い分けながら猫の体調に気を配っています。
それに、猫風邪や皮膚病にかかっている子は部屋を分けることも大切です。
一緒に過ごさせていると、全員に病気が移ってしまうので、気が付き次第、先ほどご紹介したバックヤードも使いながらすぐに部屋を分けています。
―そうした配慮をされながらお店を運営されていて、今までで一番嬉しかったことや印象深かったことを教えてください。
やっぱり里親さんが決まることですね。
里親さんがいないと保護も譲渡もできないので、里親さんが決まって猫たちが幸せになっていくことが嬉しいです。
あとは、病気だった子が治ったときですね。
保護してすぐ入院になってしまう子も結構いますし、助からないように見える子もやっぱりいるので、看病していた子や入院していた子が元気になってくれたときは嬉しく思います。
―逆に、お店を運営されている中で、今までで一番悲かったり、悔しいと感じたことは何でしたか。
病気で猫が死んでしまったときですね。
それに、保護をするのが一足遅くて助けられなかったときや、弱ってしまって死んでしまうと悲しく思います。
これ以上の悲しみは、やっぱり他にはないなと感じますね。
でも、次の子がどんどん入ってきたり、今いる子のことも考えていかなければいけないので、ペットロスのようにはならず、心は保てている感じです。
話題イベント「ねこカフェ列車」について
―話は変わりますが、今年の9月に、こちらのお店と養老鉄道さんが提携し、1日限定で、子猫と電車の中で触れ合える「ねこカフェ列車」を企画されたようですが、このイベントはどういった経緯や想いから考案されたのでしょうか。
このイベント、実はサンクチュアリが企画したわけではなく、養老鉄道さんに誘われて行ったものなんです。
私自身、正直、最初はあまり気が進まなくて、長い間考えました。
やっぱり誰もやったことのないことだし、1日だけ盛り上がるために猫たちを連れて行く意味はあるのかなとも思い、懐疑的でした。
悩んだ末、サンクチュアリの保護活動、里親募集中の子たちのPR活動に繋がるなら とやることにしたんです。
(※電車につけられたヘッドマークは、店長の田口さん自身がデザインし、特注で製作されたもの)
NHKや東海テレビなどにも出させてもらったり、海外メディアや主要の新聞はすべて取り上げて頂き、想定以上の反響を頂きました。
―たしかに数時間で乗車券が売り切れてしまうほどの大反響でしたもんね!
そうですね。
私は動物を遊びだけの目的で使うことに反対で、ブランド猫の猫カフェやペットショップが運営している猫カフェなどもあまりよく思っていなくて。
猫だからとかではなく、動物を使って商業的なことをすること自体が。
だから、今回のイベントも、得たい結果が本当に得られそうか良く考え、猫たちの安全を一番に考えて行ったつもりです。
そして、結果的に大きな反響が得られて、行ってよかったなと思えました。
―当日電車の中では、猫が快適に過ごせるようにどんなことに注意されたのですか。
まず、連れて行く子をしっかりと選別することを意識しました。
性格的に怖がる子は、初めから連れて行かないようにして、電車に乗せるのは性格をちゃんと見て、向いていそうな子だけを選んだんです。
やっぱりこうした性格は、普段から一緒に暮らしていないと分からないところもありますしね。
(※実際の当日の様子)
―実際に何匹の猫を連れて行かれたのですか。
24匹です。
看板猫のタマちゃんも連れて行ったんですが、普段通りで(笑)
他の子猫たちも、普段通りに過ごしてくれていました。
また、電車の中では猫の様子をちゃんと見ながらケアができるように、ボランティアの方も5~6人ほど来てもらいました。
―実際にイベントを行ってみて、どのようなことを感じられましたか。
結果的には無事終了し、メディア関係の方々も多く来てくださって、サンクチュアリを知ってもらうきっかけにもなったのでよかったなと思っています。
そして、イベント通して里親さんも多く決まったことも嬉しく感じました。
当日の様子は映像でもメディアに結構出たのですが、私が感じる限りでは好意的な意見が多く、よかったなとも思いました。
―イベントが苦手だとおっしゃられていましたが、もしも今後やってみたいと思っている企画などがあれば教えてください。
うちは実際にしょっちゅう子猫を保護しており、毎日が命を繋ぐ戦いなので、まずは保護活動を優先させたいのです。
まずイベントを企画したり、用意したりする時間がほとんど取れません。
でも、養老鉄道さんとの猫カフェ列車は再開催するかもしれません。
もしやるとしても、年に1~2回が限界ですね。
あとはカフェの外の敷地を使い、チャリティーフリーマーケットなどは行おうかなと考えてもいます。
―子猫を多く育てておられるからこそ、猫を飼ったことがない読者のために、「もしも道で捨てられている猫を拾ったら、まずどのようなことをすればよいのか」を教えていただきたいです。
拾ったらすぐに保護猫カフェや愛護団体などに連絡をする方も多いんですが、それは厳しいなと思います。
毎日電話でもメールでもたくさんの連絡が来るので、やっぱりすべての命を保護するのは無理で限界があるんです。
難しいかなとは思うんですけど、できるだけまずは自分で動物病院に連れて行ったり、
しばらく様子を見てほしいなと思います。
一番はしばらくの間だけでも保護をして里親探しの方法を聞いたり、自分でも調べたりすることが大切だと思っています。
愛護団体へすべて丸投げするんではなくて、相談をするときも自分でできることをやって、「ここからはできないんでこの先はなんとかなりませんか」というような相談の仕方をしていただけるとありがたいです。
なので、
①病院に行く
②ある程度の覚悟と責任感を持ち、しばらく様子を見ながら育てる
③愛護団体などに相談をしながら、里親を探す
この3つを意識しながら、猫の命を守っていってほしいですね。
―最近はメディアで猫が取り上げられる機会も多くなり、猫ブームだといわれていますが、猫ブームな今だからこそ、猫にとってどのような世の中になってほしいと思いますか。
やっぱり殺処分ゼロはもちろんですが、殺処分が少しでも減ってほしいし、野良猫も少なくなってほしいですね。
野良猫は、やっぱり厳しい世界で生きているので可哀想ですしね。
猫ブームだけど、捨てられたり殺されたりしてしまう命が生まれているからこうして保護をしているだけなので、猫が増えてほしいとか猫が流行ってほしいとかいう気持ちはありません。
TNR活動をしていくことも大切だと考え、実践しています。
あと、猫だけに限らず、動物は全般の殺生もできるかぎり減らすべきだと思っています。
猫がかわいいとか、好きだからとかではなく、他の動物も同じく喜怒哀楽や親子愛があり、幸せになりたいはずです。
命を大切にできる世の中になればいいですね。
※TNR活動…野良猫を捕獲し、避妊・去勢手術を行い、元の場所に返すこと。こうした猫は再捕獲されないために、耳がさくらの花びらにようにカットされていることが多いため、さくら猫と呼ばれたり、地域猫と呼ばれます。地域猫は子孫を残さないため、結果的に殺処分の減少にも繋がり、一世一代の命を地域で見守っていくことで、野良猫に少しでもいい環境を提供してあげることもできます。
【インタビュー中の小話】FIPを患った猫ちゃんにも幸せなニャン生を
常時2~3名さんのスタッフさんで猫の命を紡ぐために奮闘しておられるサンクチュアリさんは、難しい病気の子もなんとか治療しようとされていたり、病気でも猫が心地よく暮らしていけるように配慮しておられます。
実際に、現在2階の住居スペースにはFIP(猫伝染性腹膜炎)という病気で完治が厳しい猫ちゃんが、懸命に生きています。
この猫ちゃんは、神経が病に侵されており、歩くことができなかったそうですが、最近では少しずつ歩けるようになり、私が取材に訪れた日にはドライフードを食べてくれるという嬉しい進歩がありました。
病気を抱えているため1日先の容体が分からないという悲しさはありますが、こんな風に病気でも幸せに命を全うできる居場所があることは、猫ちゃんにとっても幸せなことだと感じ、サンクチュアリさんの信念や猫を想う気持ちの深さに胸が熱くなりました。
※FIP…コロナウイルスが体の中で突然変異し、強いアレルギー反応を起こすことで発症します。致死率も高く、現在の医学では完治が難しいとされている病気です。
発症タイプは「ドライタイプ」と「ウェットタイプ」の2種類ですが、両方の症状が見られる中間型の子もいます。ドライタイプの場合は脳に炎症が起きやすく、ウェットタイプは腹水や胸水が見られることが多いとされているのです。
こねこカフェ Sanctuaryはすべての動物を大切に!
保健所から連絡を受け次第、殺処分対象の子を引取りにいかれるサンクチュアリさんは、猫だけでなく、すべての動物を大切に想っておられる保護猫カフェです。
店員さんも気さくな方が多いため、猫に囲まれながら幸せなティータイムを堪能したい方は必見なお店だといえるでしょう。
気になった方はぜひこれを機に、サンクチュアリさんで子猫と触れ合いながら、自分なりの方法で猫の命を救うお手伝いをされてみてくださいね。