めったにいないと言われている、三毛猫のオス。なぜそんなに珍しいのか、その珍しさから神様のように扱われていた事や、三毛猫が大活躍する赤川次郎さんの「三毛猫ホームズシリーズ」のホームズは、オスか?メスか?についても解説しています。また、三毛猫が出てくる書籍の紹介もあります。三毛猫について知ると、ついついオスの三毛猫探しがしたくなると思います♡
なんで珍しいの?
猫の模様は、「黒」の毛と「赤」の毛の色の部分と、色の出ない「白」の部分が体にどのように表れるかによって決まります。一般的に、「黒×白(サバトラなど)」や「赤×白(茶トラなど)」の2色の組み合わせの柄を二毛、「黒×赤×白」の3色の組み合わせの柄を【三毛】と言います。また、「黒×赤」の2色が組み合わさったり、交じり合ったりしてできる柄は【サビ】と言われています。つまり、【三毛】も【サビ】も「赤」と「黒」の2色が必要になります。
【三毛】は、オスがめったにいないと言われますが、実は【サビ】も同じように、ほとんどがメスなのです。これは、性別を決める性染色体が、毛色の遺伝にも関係しているためです。
猫の性別を決める性染色体は、人と同じで、メスはX2つ(XX)、オスはXとY(XY)です。このX染色体にのみ存在する遺伝子が“2つ”そろって初めて【三毛】や【サビ】になります。そのため、X染色体を1つしか持たないオスは、【三毛】、【サビ】の柄になりにくいのです。ただしまれに、X染色体を2つもつオス(XXY)がおり、その場合は、オスでも【三毛】や【サビ】が生まれます。
三毛猫のオスの確率は?
このように、遺伝によって生まれにくい三毛猫のオスは、3万匹に1匹しかいないと言われています。また、遺伝子の変異が原因の為、オスの三毛猫の子供が、オスになることはほとんどありません。ということで、一生に一度会えるか会えないかのレアな存在なのです。
その珍しさからか、オスの三毛猫を船に一緒に乗せると無事に航海ができると言われていました。過去に、縁起がいいということで、南極観測隊に送られた三毛猫のオス「タケシ」という猫もいました。
招き猫は三毛猫のこと?
生まれる確率の低さからわかるように、希少価値がとても高いためか、昔から三毛猫のオスは珍重されていました。嵐をしずめることができるとか、幸運をもたらすとか、守り神になるとか、いろいろな言い伝えがあります。まるで神様のような存在だったようです。
そのためか、商売繁盛の縁起物、招き猫の柄のデザインには「赤(茶)+黒+白」の【三毛】の柄がよくつかわれています。ちなみに右手を挙げているのはお金を招き金運アップを、左手を挙げているのは人を招き千客万来を意味しているそうです。
三毛猫が登場する書籍
三毛猫「ホームズ」はオス?メス?
三毛猫ホームズ(著者 赤川次郎)
ドラマ化されたときには、マツコ・デラックスさんがホームズの“猫の化身”の役を演じていましたね。ホームズは、果たしてオス猫なのでしょうか。
1作目の「三毛猫ホームズの推理」の中で、元の飼い主の森崎氏がホームズを紹介するシーンがあります。“女のくせに愛嬌がなくてね”と言っていますので、ホームズという名前ですが、メスなのです。
赤川次郎さんが飼っていたメスの三毛猫のミーコがモデルになっているそうです。
ちなみに、猫なのになんで推理できるのかについては、森崎氏が本文中で、“実は以前、子宮に腫瘍を作りましてね、命にかかわるというので、手術で子宮を取ってしまったのです。――いや、面白いことに、それ以来、物思いにふけることが多くなりましたよ。これは猫好きの欲目というやつですかね。”と語っていますが、避妊手術ではないものの、子宮を切除して以来、賢くなったようです。避妊去勢手術をすると、子猫に戻ったような行動をするようになったり、おとなしくなる猫が多いようです。中性的な存在になったホームズの、神秘的な猫能力が発揮されたのかもしれません。
やはり、小説の中でもなかなかオスの三毛猫はいないのですね。
猫タクシー(著者 永森裕二)
最近では、ドラマ化や映画化されて話題にもなりました。
カンニング竹山さんが主演を務めた「猫タクシー」に出演していた猫は、実はみーすけ君と言ってオスの三毛猫です。もう一度「猫タクシー」を見なおしたくなりますね。
三毛猫が出てくる本
”オス”ではありませんが、可愛い三毛猫が出てくる書籍は、こんなにあります。
絵本
- みけねこキャラコ(作 どいかや)
黒と白と、隠れたところに茶の毛色を持つ三毛猫キャラコちゃんのお話。 - 三毛ねこミッチ(作 関根栄一・絵 東本つね)
小さな捨てられ猫ミッチの冒険のお話。 - みけねこレストラン(作 竹下文子・絵 鈴木まもる)
太っちょ三毛猫すみれの不思議なレストランのお話。
こども文学
- 三毛猫のしっぽに黄色いパジャマ(著者 那須田淳)
お話の中に三毛猫は出てこないのですが、主人公が願いをかなえるおまじないとして、ここぞというときに「三毛猫のしっぽに黄色いパジャマ」と唱えます。主人公もいつからそうしているかわからない癖と言っていますが、やはり三毛猫は縁起がいいということでしょうか。
小説
- 三毛猫がくれた幸福(著者 矢口高雄)
『釣りキチ三平』の作者である漫画家の矢口さんと、半外猫で活発な三毛猫ナツコの最期を見送るまでの愛描記。 - 三毛猫キティの3か国日記(著者 山口さとし)
フランスで生まれ、スイスで著者に引き取られた、海外では珍しいとされる三毛猫。外交官の著者と一緒に、スイス・日本・コロンビアで生活を共にしたキティと、著者夫妻との愛描記。
猫カフェ「きゃりこ」
三毛猫の事を海外では、キャリコ(Calico cat)とも言います。
「猫カフェきゃりこ」さんは都内に3店舗ある猫カフェで、新宿店は2フロアあり、都内随一の広さです。新宿店と吉祥寺店は、ブランド猫のいるお店で、マンチカンやペルシャなど、珍しい洋猫の三毛猫とも会えます。武蔵野店は、保護猫の里親募集型猫カフェになっています。
まとめ
三毛猫ちゃんには、ついつい「ミケ」と名前を付けたくなります。ミケちゃんは女の子の名前みたいで、ほとんどメスしかいない三毛猫にちょうどいいのではないでしょうか。三毛猫のオスの珍しさを知ると、もし奇跡的に男の子に生まれてきた三毛猫ちゃんと出会ったら、なんとなく「凛々しい名前を付けてあげたいな」なんて空想してしまいました。