もしも愛猫が視力を失ってしまったら・・・考えるだけで心が痛くなりますが、パニックになったり、悲観的になったりしないでください。まず最初に知っておいて欲しいのは猫はたとえ目が見えにくくなったり、失明してしまっても聴覚や嗅覚など他の器官を使って不便さを補うことで状況にうまく対応できるとても強い生き物だということです!
もちろん目が見えなくなってしまうことで家具の配置を変えたり、なるべく部屋の段差をなくすなどしてあげられる、してあげなければいけないこともあります。また、猫自身がその環境に慣れるまでに数週間はかかるでしょう。でもたとえ視力を失っても少しの助けと変わらぬ愛情を注ぐことで猫は今まで通り快適に幸せに暮らしていくことができます。ここでは猫が視力を失い始めている、目が見えていないときに見られる兆候や失明してしまったときの対処の仕方などを説明したいと思います。
はじめに
老齢や病気、怪我などが原因で猫は視力を失うことがあります。また、発症するときも急に失明してしまったり、時間をかけて徐々に視力が失われていく場合と様々で一定の法則のようなものはありません。いずれにせよ飼い主が愛猫が視力を失っていることに気がついてあげられるかどうかは非常に重要なことです。普段から愛猫の様子を観察することで出来るだけ早く変化に気がついてあげられるようにしましょう。
猫が失明したときのサイン
- 瞳孔が開いている・・・光に照らされても反応せず、瞳孔が開いたままの状態。
- 驚くことが多くなる・・・撫でたりすると飛び上がって驚くなど物事に過剰に反応することが多くなる。
- 物にぶつかったり、ジャンプを失敗する。
- おかしな行動が見られる・・・多頭飼いしている場合、今まではリーダー格だったのが立場が弱くなったりする。隠れてばかりで外に出たがらない、トイレを使ってもトイレの外におしっこをしてしまうなど今までとは違う行動を見せる。
- 頻繁に目を細めたり、こすったりする。
動物病院に連れていく
愛猫の様子がおかしい、目が見えていないのではないかという疑いのあるときはすぐに動物病院に連れて行き診断を受けましょう。獣医師に診てもらうことで原因もわかります。稀ではありますが、速やかな治療を施すことで視力が回復するケースもあります。また完全に失明してしまっても、注意するべきことや今後の付き合い方など相談に乗ってもらったり、アドバイスを受けることもできます。
猫の失明の主な原因の1つに高血圧があげられます。また腎臓の疾患、糖尿病、甲状腺の疾患なども失明する原因となることがあります。猫の健康のためにはもちろん、失明を予防するためにも定期的に健康診断を受けさせ、食生活に気をつけるなど普段から健康管理をしっかりとすることが大切です。
失明した猫にとって安全な生活環境とは
視力を完全に失ってしまい、回復の見込みはないと診断されてもそんなに悲観的になる必要はありません。目は見えなくても今までと変わらず快適に生活を送らせてあげることはできます。まずは今までの生活環境を見直して、愛猫が安全に生活できるよう生活環境を整えてあげましょう。
猫が室内外を自由に出入りしていた場合
もしも猫を外にも出してあげていた場合には、完全な室内飼いに切り替える必要があります。根気のいることですが、他の猫や犬から攻撃を受けないよう、また交通事故にあったりしないよう愛猫を守るためにとても重要なことです。トイレのしつけが必要な場合もあると思います。もしも猫砂に抵抗を見せるようなら、外の土を入れて、徐々に猫砂を混ぜていくことで慣れさせていきましょう。
家具の配置を見直す
障害になりそうな家具などは移動させ、猫が移動しやすい環境を整えてあげましょう。ただ一度家具の配置を見直したら、猫が物にぶつかる原因となるので頻繁に家具の配置を変えたり、部屋の模様替えをするのは出来るだけ避けてください。
床に物を置いたりしない
同じ理由からお子さんのいる家庭では、おもちゃで遊んだりしたあとは床に放って置いたりせずにきちんと片付けるようにしましょう。
食事は同じ場所で与える
食事と水は今までと同じ場所で与えるようにしましょう。そうすることでどこに行けば食事が取れるのか、水が飲めるのかが分かります。もし隠れることが多くなり、外に出たがらないときにはいつもの場所はそのままで、別のお皿に餌を入れて猫のそばに置いてあげてください。
多頭飼いしている場合には
もしも他に猫を飼っている場合には、他の猫の首輪に鈴をつけてあげるといいでしょう。2匹以上飼っているときにはそれぞれの猫に違う音のする鈴をつけてあげましょう。そうすることで他の猫がどこにいるのか、自分のそばにいるのかが分かるので目が見えなくても猫は安心することができます。また、目の見えない猫(ハンディキャップのある猫)は攻撃されやすいです。必要なときには隠れることができる場所を確保してあげましょう。
してあげて欲しいこと
一緒に遊んであげる
視力を失ったからといって運動が必要なくなるわけではありません。しかし目が見えなくなること動くことが億劫になったりと運動不足になりがちです。そこで一緒に遊んであげることで運動不足の解消、ストレスの解消をしてあげましょう♪遊ぶときには音の出るオモチャを利用するといいでしょう。また猫がつまずいたり、ぶつかったりしないようオープンスペースを選んで遊んであげるようにしましょう。
一緒に時間を過ごしてあげることも大切です。そこで毎日ブラッシングをしてあげるのがオススメです。そうすることで飼い主に愛されているという満足感と安心感が得られ、さらに愛猫との信頼関係もより深いものになりますよ♡
声をかける
猫に近づくときやご飯の時間、触ってあげるときなど驚かさないように名前を読んだり、声をかけてあげたりしましょう。また同じ理由から突然大きな音を立てたりしないよう気をつけてあげてください。
部屋を区別できるようにする
それぞれの部屋に違う種類の音楽をかける、アロマオイルなどを利用して部屋ごとに香りを変える、フローリングの部屋、畳の部屋、絨毯の部屋など各部屋で違う床材を使う・・・こうすることで猫が自分がどこにいるのかを簡単に把握することができます。ここでは3つの例をあげましたが、音が気になって落ち着けない、いろいろな匂いが混ざってイヤ、部屋ごとに床材を変えるのはコストがかかるなどいう意見も多いと思います。この項目はあくまでもアイデアとして受け止めていただければいいと思います。絶対にやらなくてはいけないということではありません。
おわりに
愛猫が失明した・・・とても深刻なことのように感じます。もちろん大変なことですが、猫自身は視力を失ったことに私たちが思っているほどストレスを感じていないといわれます。猫にとっては視力を失ったことよりも失明してしまったことで飼い主に見捨てられることが本当の悲劇なのです。飼い猫が失明したからといって見捨てるようなことはしないでください。
猫の視力はもともとそんなに良くはありません。その代わり聴覚は非常に優れています。またヒゲも重要な役割を果たしています。嗅覚も私たちよりも優れていますし、足の裏もとても敏感で状況を把握するのに役立っています。たとえ視力を失っても他の器官を使うことでハンディキャップを補い、驚くほど上手に状況に対応できます。目が見えないとは思えないほど活発に動き回る猫ちゃんもいます!もしも愛猫が視力を失ってしまったとしてもその現実をしっかりと受け止め、安全に生活できるよう環境を整えてあげて、出来ることはしてあげる。そして変わらぬ愛情を注ぐ。そうすれば今まで通りに快適で幸せな生活を送ることができます。そしてもちろん、今まで通り、いつも側にいてくれて、愛してくれ、癒してくれる大切なパートナーでいてくれますよ♡