猫も私たちと同じように年をとるにつれて様々な症状が出てきます。一般的には7歳をすぎると老化の兆候が現れ始めるといわれています。もちろん個体差があり、10歳を過ぎても元気いっぱいの猫ちゃんもいます。
視力が弱くなったり、耳が遠くなるといった症状は腎臓の疾患や糖尿病が原因のこともありますが、加齢が原因の聴覚の低下は程度の差はあれ、ほとんどのシニア猫に見られる症状です。老化が原因の場合には治療法などはありませんが安全で快適な生活環境を整えてあげることが大切になります。ここでは聴覚が低下しているときの兆候や対処法について説明したいと思います。
はじめに
猫が老齢を迎えると聴力が低下するのは一般的な症状で年をとるにしたがって聴力が低下し、耳が聞こえなくなることもあります。通常は聴力が徐々に失われていくことが多いです。猫は耳が聞こえにくくなることで起こる不便さを臭覚などの他の器官で補うので完全に耳が聞こえなくなるまで気づかないことも珍しくありません。また難聴は遺伝性のものや耳の疾患が原因のこともあります。治療が可能なこともあるので愛猫の聴覚の低下が疑われたらまずは原因を突き止めることが大切です。
難聴のサインを見逃さない!
定期的に耳の中をチェックする
猫は普段から毛づくろいを欠かさないきれい好きとして知られていてお手入れには時間をかけていますが、耳の中は自分でお手入れすることができません。年齢に関係なく猫を飼ったら健康管理のためにも普段から耳の中をチェックするのを習慣づけることはとてもいいことです!
特にシニア期を迎えたら2週間に1回は耳の中をチェックするようにしましょう!耳垢がたまっていないか?赤味がかったりしていないか?炎症を起こしたりしていないか?異臭はしないか?耳ダニやダニのフンは?・・・異常がみられたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。
態度や行動に変化が見られる
部屋に入ると攻撃的になったり、怯えるようになる、また突然大きな鳴き声を上げる、名前を呼んでも反応しないなど様子がおかしい、今までと違う・・・これは聴力が低下していて部屋に入ってくるのに気がつかなかったり、名前を呼ばれたのに気がつかなかったかもしれません。
紙を破いたり、アルミホイルを丸めて音を出してみる
もし飼い猫の聴力が低下しているのかもしれないと思ったら、寝ているときや自分の方を見ていない時に紙を破いてみる、アルミを丸めてみる、キーホルダーを振ったりして音をだしたりしてテストしてみましょう。
定期的に健康診断を受ける
猫は病気にかかっているときや調子の悪いときでもそれを隠そうとする習性があります。成猫には1年に1回の健康診断が必要ですが、シニア期を迎えたら半年に1回(年に2回)は動物病院で健康診断を受けるようにしましょう♪また、聴力が低下している兆候がみられたり、耳に炎症などの異常がみられたらすぐに診察を受けてください。
加齢以外の難聴の原因
治療薬の影響
猫が別の疾患のため治療を受けている場合、投薬中の抗生物質や利尿薬が原因で聴力が低下することがあります。副作用のない薬はほとんどないため別の疾患のため投薬治療が必要なときには聴力に影響を及ぼす可能性があるのか必ず確認するようにしましょう。
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
私たちでいう喉仏のあたりにある甲状腺が甲状腺ホルモンを過剰に分泌するために起こる疾患で中年〜シニア期に発症することが多い病気です。新陳代謝が活発になりすぎるので食事をしっかり食べていても体重の減少がみられることがあります。また下痢、嘔吐などの症状がみられます。腎臓や心臓の疾患、視力や聴力の低下の原因になることもあります。
遺伝性の難聴
白い被毛に青い目の猫は難聴や聴力が弱い状態で生まれることが多いといわれており、約8割が少なくとも片方の耳には障害があるといわれるほどです。猫の毛が白くなるのは「W遺伝子」と呼ばれる遺伝子のためです。W遺伝子はメラノサイトという色素を作る細胞を抑える働きもあるため瞳孔の色にも影響を与え、目の色も明るくなることが多いのです。また、W遺伝子は聴覚にも影響を与えます。そのためW遺伝子を持った白猫でなおかつ目の青い猫には聴覚に障害を持った個体が多いのです。もしも飼い猫が青い目の白猫ちゃんの場合には聴力に異常がないか動物病院で診察を受けるようにしましょう。
難聴になってしまった時の対処法
加齢が原因で聴力が低下したり、聞こえなくなってしまった場合には治療法はありません。愛猫が安心して快適に生活できる環境を整えてあげましょう♡
完全な室内飼いにする
もしも飼い猫を外にも出していたら完全な室内飼いに切り替えましょう。健康な猫、若い猫でも外の世界には危険がいっぱいですが、年をとった盲目や難聴の猫にとって外の世界は危険すぎます!他の猫や犬に襲われたり、交通事故にあるのを避けるためにも室内飼いにしましょう♪
電気や振動を利用して自分の存在を教える
部屋に入るときには電気をつけたり、消したりする。また耳は聞こえなくても振動は伝わるので床を手で叩いたり、足踏みをしたりする・・・そうすることで猫を驚かすことなく自分の存在を知らせてあげましょう♪
できれば絨毯などを引かずフローリングのままにしておくとより振動が伝わりやすいです。
首輪に鈴をつける
耳が聞こえない、聞こえにくくなっている猫は名前を呼んでも気がつかないので、どこにいるのかわからなくなることがあります。首輪に鈴など音の出るものをつけてあげると愛猫がどこにいるのかわかりやすくなるので、探す手間を省くことができます♪
首輪にIDタグをつけてあげる
もし万が一、外に出てしまって迷子になったりしたときのために首輪に住所や電話番号などの連絡先とともに耳が聞こえないことも明記しておきましょう!そうすることで保護されたときにも耳が聞こえていないことがわかるのでスムーズに対処してもらうことができます♪
補聴器を検討する
私たちと同様に猫や犬のためにも補聴器が販売されています。犬は補聴器を受け入れ利用できることも多いようですが、猫はその違和感に戸惑い嫌がることが多く、耳を掻いて出してしまうことが多いので獣医師もあまり勧めることはないようですが、興味のある方は獣医師に相談してみてはいかがでしょうか☆
たくさん構ってあげる、触ってあげる
耳が聞こえなくなることでストレスが溜まったり、不安になることもあるでしょう。頭を撫でてあげたり、体をかいてあげたり、ご飯の時間を触って教えたげたりして今までよりも多くスキンシップをとってあげる。今まで以上に愛情を注いであげることで猫も安心して穏やかに過ごすことができると思いますよ♡
おわりに
一緒に暮らしてきた愛猫が年をとって聴力を失ってしまうのは悲しいことですが、できる限り不便さを補ってあげて環境を整えてあげることで今までと同じように快適に幸せに過ごさせてあげることができます。大切なのは根気強く、繰り返しコミュニケーションをとること、また家族がいるときには愛猫に使う合図を統一しましょう。そして毎日同じ時間に食事を与えるなど規則正しい生活を心がけるようにしましょう。またお客さんが来たときなどは猫の耳が聞こえていないことを忘れずに伝えて、猫を驚かしたりすることのないようにしてあげましょう♡