猫自身の健康のため?知りたかった!猫の去勢・避妊手術について

猫を飼うと決めたときによく耳にされる猫の去勢・避妊手術についてですが、手術と聞くと大事な愛猫のことですから分からないことや不安を感じるものです。無邪気で可愛い子猫の時期はあっという間に過ぎてしまいます。
では猫と一緒に快適に暮らすには一体いつ手術を受けるのがベストなのか、また手術のメリット、デメリットなどについてご紹介します。
飼い主として正しい知識をもって対応したいものですよね。
これから猫を飼うという方にも既に猫を飼っている方や手術済みの飼い主さんへのご参考にしていただければと思います。

猫の不妊手術について

最近では当たり前のようになりつつある猫の不妊手術ですが、オス猫の場合は去勢手術、メス猫の場合は避妊手術といい総じて不妊手術といいます。
ここではなぜ手術するのか、その費用はどのくらいかかるのか、また手術方法、その術前・術後の注意点についてご紹介します。

手術する理由

不妊手術する最大の理由は乳腺や生殖器(卵巣・子宮・精巣・前立腺)などのガンの病気の予防になることや寿命が延びることです。
また望まない妊娠を避けることや発情によるストレスからも開放される、性格が穏やかになるというメリットがあります。

手術費用

気になる手術の費用についてですが、オス猫の去勢手術は10000円~20000円、メス猫の避妊手術は15000円~30000円が一般的な相場です。
地域や動物病院によっても違いがありますのでかかりつけの病院へお問い合わせください。

不妊手術前の注意すべき点

手術する12~18時間前から絶食をする必要があります。理由は全身麻酔をかけると全身の力が抜けるため胃の中に食べた物が残っていると吐いてしまうことがあります。吐しゃ物が気管や肺へ入ると窒息したり肺炎を起こす恐れがあります。
手術の前夜からは飲み食いをさせないようにしましょう。

手術の流れ

一般的な動物病院での流れです。

  1. 触診、体温、心音をチェックする
  2. 点滴のための留置針をセットする
  3. 麻酔をかけるための処置
    前処置(軽い鎮静剤や鎮痛剤を注射)
    麻酔導入(ケタミン、プロポフォール等)
    麻酔維持(ガス吸入麻酔)
  4. 麻酔が完全に効いていることを確認後、心電図やモニタ機器を装着
  5. 点滴開始
  6. 毛をきれいに剃る
  7. 何回も消毒して滅菌布をかけて固定
  8. 手術
  9. ガス吸入麻酔を切って覚醒させる

この後メス猫の場合は1泊入院させ、オス猫は完全に麻酔から覚めたことを確認後退院させることになります。
時間的に1~7までは約20~30分程度かかります。
手術時間はオス猫は約15分、メス猫は約40~50分かかります。

不妊手術後の注意すべき点

完全に麻酔が覚めるまでは病院で管理されていますが、消化管機能が正常に戻るまでは時間がかかるため術後半日くらいは絶食させます。術中に輸液補給されているので心配いりません。
自宅へ戻って来てからも精神的なストレスがかかっているため飼い主さんのことも嫌がって逃げることがあります。構わないでそっとしてあげましょう。
それから抜糸するまでは傷口を舐めないようにエリザベスカラーをつけます。但し、エリザベスカラーに慣れていない猫もいますから傷口を保護するような胴衣を着けてあげるとストレスがかからないかもしれません。
退院後1~2日間くらいは食欲が安定しませんが、3日以上安定しなかったり下痢や便秘が長く続くようなら病院に診てもらいましょう。

オス猫の去勢手術について

オス猫の不妊手術といえば去勢手術になります。いわゆる精巣摘出もしくはパイプカットになります。
外科的手術の中では比較的簡単な手術とされています。
メス猫の避妊手術のように開腹するわけではありませんので体力回復についてもそう長くはかからないでしょう。
オス猫はメス猫に比べて体格も大きいため力があります。飼い猫であれ地域猫であれ無計画に子猫が生まれ捨てられたり殺処分されないためにも去勢手術は必要ではないでしょうか。

発情期と手術のベストなタイミング

オス猫が性的に成熟するのは生後9~12ヶ月とされていますが、発情期というのはとくになくメス猫の発情に反応してマーキングをします。こうなると交尾が可能となります。
国際猫医療協会(ISFM)では去勢手術のタイミングとしては性成熟が始まる前の生後6ヶ月以内を推奨していますが生後5ヶ月でもいいという事例もあります。また尿道の成長を考えると精巣が成長した生後10ヶ月頃が良いという説もありますので生後5ヶ月になる前にかかりつけの獣医さんに相談されることをお勧めします。

去勢手術の方法

去勢手術は精巣摘出をします。
先述の「手術の流れ」の6番からの続きになります。
猫に全身麻酔をかけて横に寝かせ、精巣が入っている睾丸の毛を剃ってからメスで最小限の切り込みを入れ、中にある精巣を取り出し繋がっている血管と輸精管を玉結びにし血液を遮断したところで結び目から少し離れた箇所をカットし精巣を切り離します。
その後、もう片方の精巣も同じように取り除き手術は完了です。
中身がなくなると袋は風船がしぼむように自然に縮んでいきます。

術後のメリット

最大のメリットは生殖器系疾患の予防になるということです。オス猫の場合は精巣腫瘍ですね。
そして精巣を取り除くため性的な衝動からのストレスが軽減され、マウンティングやスプレー行動が減ることも有難いことです。
また攻撃性が弱まります。

術後のデメリット

去勢手術をすることによるデメリットは下部尿路症候群(尿管膀胱結石症、尿路感染症、悪性腫瘍)を発症しやすくなるようです。
また太りやすい体質になるため肥満予防のための食事管理が必要になります。
肥満が予防できれば糖尿病も回避できるでしょう。

メス猫の避妊手術について

メス猫の避妊手術とは卵巣と子宮の摘出を行う手術です。
メス猫特有の危険な病気を回避できますし無計画な出産による子猫を捨てたり殺処分されないようにするためにも避妊手術をした方がいいと思います。
ただ、オス猫の去勢手術とは違い開腹手術になるのでオス猫に比べて体の負担が大きくなることからも術後のケアが必要です。

発情期と手術のベストなタイミング

メス猫が性的に成熟するのは生後3~9ヶ月と個体別でかなりの幅があります。多くの猫は生後6ヶ月過ぎから初めての発情期が来ますが、生まれた月によって初回の発情期が違うようです。
猫の繁殖する季節は春から夏となっています。そのため例えば8月生まれの猫の場合、生後6ヶ月というと翌年2月ですが、12月から翌年3月に生まれた猫は4~5ヶ月後に当たる春から夏の繁殖期に発情期を迎えることになることからも早めに避妊手術が必要となります。
また室内飼いの猫の場合、夜でも部屋の中が明るいため体が日照時間を長く感じるので季節感がなくなり1年中発情を繰り返すこともあるようです。
避妊手術のベストなタイミングは生後6ヶ月以内とされているので生後5ヶ月になる前にかかりつけの獣医さんにご相談されることをお勧めします。

避妊手術の方法

避妊手術は卵巣と子宮の除去をします。。
先述の「手術の流れ」の6番からの続きになります。
猫に全身麻酔をかけて横に寝かせ、腹部の毛を剃ってから外科用ドレープで覆います。
メスでへそから3cmほど下に1~3cm切って腹筋の中央にある腹白線を露出し、腹白線に切り込みを入れ子宮角を腹壁の外に引き上げます。
切除する箇所は卵巣支持靭帯、動静脈、子宮体、子宮角です。
卵巣と子宮の切除が終わったら残りの組織をお腹に戻し傷口を縫合して完了です。
メス猫の場合、1~2日の入院が必要となります。

術後のメリット

最大のメリットといえばやはり卵巣や子宮に発生するがんや炎症などの病気を回避できることです。
さらにホルモンの作用による乳腺炎や乳がんの発症率も大幅に下げることになります。
また妊娠することもないので妊娠や出産に伴う病気の予防になりますよね。
卵巣を取り除くことでオス猫同様に性的ストレスを感じることもありません。

術後のデメリット

避妊手術をすることによるデメリットは下部尿路症候群(尿管膀胱結石症、尿路感染症、悪性腫瘍)、糖尿病のリスクが高くなると言われています。
またオス猫と同じように肥満気味になるようですから食事管理をする必要が出てきます。

手術後の変化

不妊手術後はホルモンバランスが変わるため、猫に様々な変化が表れるのです。
私的には困っていたものがすべて改善されるように思うのですが…
ここでは見た目や性格、行動についてご紹介します。

見た目は変わる?

オス猫もメス猫も性ホルモンの分泌がなくなるためがっちりとした筋肉がつきにくく腰やお腹周りがふっくらして全体的に丸い印象になります。
顔もすっきりして子猫のままのような顔つきでとても可愛らしいです。

性格はどうなるの?

手術により男性ホルモンと女性ホルモンの割合が同じくらいになってくるために理論上では性格の違いがなくなってくると考えられるのですが、やはり元の性による性格は残っているように思います。
ただオス猫同士が一緒に寝ていたりメス猫同士がアロラビングしないなどの変化は起きていることも事実です。

気になる行動は?

手術後は以下の術前の困った行動がなくなったといわれています。

  • 攻撃性がなくなり噛みグセがなくなった
  • マウンティング(擬似交尾)やスプレー行動(性的アピール)が減った
  • 相手を求めて大声で鳴かなくなる
  • 相手を求めて脱走することがなくなる
  • 穏やかで甘えん坊になる

私たち飼い主にとっては嬉しいことづくめですね♪

まとめ

いかがでしたか。
不妊手術をする時期は猫の年齢や発育状態、性別などにより個体差がありますが、だいたい生後6ヶ月くらいが多く行われています。体重で言えば2kg~2.5kg以上になった時点で手術が可能といわれています。
手術を行う理由についても猫が子猫を産むことを望まない、病気にかかるリスクを考慮すると不妊手術をさせることを選択する飼い主さんが9割ともいわれています。
また稀に不妊手術をしたのにスプレー行動したり性格や見た目が変わらないなど期待していた変化にあてはまらない猫もいますが、今後の健康面のことを考えるとデメリットが少ないことから見ても猫を飼うのであれば不妊手術は必要ではないでしょうか。

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