「地域猫」ってどんなもの?概要をまとめました☆

振り返る猫

「地域猫」、この数年で少しずつ見聞きすることが増えた言葉ですね。でも、「聞いたことはあるけど、なんとなくしか知らない」という方も多いのではないでしょうか?
この記事ではそんな方のために、「地域猫」とはどういうものなのか、地域猫活動によってどういったメリットが得られるのか?どういう人が活動を推進しているのかや地域猫活動の課題についてまでをまとめました☆

地域猫とは

「地域猫」とは、特定の飼い主がいないものの、その地域の住民によって共同管理されている猫たちとのことです。「管理」とは具体的にどのようにされているのか、野良猫との違いは何か?など、順を追ってご説明します!

何が目的?

地域猫活動の最終的な目的は「飼い主がいない猫(いわゆる野良猫)をなくすこと」です。
現在、日本にはたくさんの野良猫がいます。環境省の資料によると、平成28年度に保健所へ収容された猫の頭数は、全国で約72624頭。そのうち61563頭が「所有者不明」となっています。
そして、これだけの頭数が持ち込まれているにも関わらず、まだ野良猫はたくさん見かけますよね。それだけ多くの「飼い主不在の猫」が存在しているのです。こんなにも多くの野良猫がいると、人間との間に様々な軋轢が生まれてしまいます。次の項で、具体的にどのような問題があるのかを見ていきましょう。

管理されていない野良猫によって引き起こされる問題

無責任な餌やり

これは非常に多く取り上げられる問題です。野良猫に餌をやり、食べ終わった後のゴミや器、残った餌の始末などをしない方がいます。こういった問題は次の項、「衛生問題」に繋がっていくことになります。

衛生問題

前項からも繫がっており、また、野良猫の問題として多く取り上げられるのがこの「衛生問題」です。
糞尿の問題、嘔吐の問題、猫が餌を確保するためのゴミ漁りや、人獣共通感染症の媒介。それに、前項で取り上げた「無責任な餌やり」によるゴミや、始末されなかった餌の腐敗など、非常に多くの方が悩まされてしまう問題です。

騒音問題

猫は普段の鳴き声はそう大きくありません。しかし、発情期や喧嘩の際にはびっくりするほど大きな声で鳴くのです。この声をうるさいと感じる人はとても多いです。
筆者は猫と暮らしており、大の猫好きではありますが、野良猫に大きな声を聞かされ続けたら参ってしまうかもしれません。

人の生活圏への侵入

人が暮らしている家の庭先などに入り込んでしまうことで引き起こされる問題です。前述の衛生問題や騒音問題が庭先で起きたら住民は困ってしまいますよね。その上、ガーデニング植物への被害や飼育しているペットへの被害も引き起こされてしまいかねません。

具体的な活動内容

地域猫活動ってどんなことをしているのか?それを具体的にご説明します☆

活動している人たち

基本的には、地域の愛護ボランティアの方々が活動しています。地域行政と連携し、助成金を受けていたり、地域猫に関する条例が制定されているところもあります

避妊・去勢手術(TNR)の実地

「TNR(Trap-Neuter-Return)」と呼ばれる野良猫を捕獲し、不妊手術を行う活動です。地域猫活動の要と言っても過言ではない、非常に重要な活動です。
発情期の騒音を減らし、個体数の増加を抑制することができ、また、マーキングの臭いが軽減されます。先に述べた地域行政との連携で、不妊手術への助成金が出ている地域では特に活発に行われています。

餌やりの管理

無責任な餌やりをやめ、ゴミの始末や食べ残しの始末などをきちんと管理しています。必要な量の餌を与えることによって、猫のゴミ漁りへの対策になります。本来当然である器やゴミ・食べ残しの回収を行い、無責任な餌やりをなくす目的も。その時一緒に周辺の掃除をしている方もいらっしゃいます。

地域猫の管理、周辺住民への呼びかけ

糞尿の回収や、野良猫用トイレの設置など、可能な限り野良猫による被害を減らすための活動を行なっています。周辺住民で野良猫被害にあっている方へ対策をお話ししたり、コミュニケーションをとることで地域猫活動への理解を呼びかけています。

地域猫活動がもたらす効果

野良猫被害の減少

地域猫活動によって、まずは野良猫による被害を減らすことができます。きちんと地域の猫を管理することによって、大方の問題を解決することができるのです。それから、不妊手術を施すことで徐々に野良猫の頭数を減らしていくことができますね☆

殺処分数の減少

これも大きな目的の一つです。環境省が発表している統計によると、10年前、平成18年度の猫の殺処分数は約228000頭。平成28年度の殺処分数は約46000頭です。この10年間でこんなに減ったのです。確実に成果を上げていることがわかりますね。多くの愛護活動家が目指している「殺処分ゼロ」も、不可能ではないと思える数字になってきました。

課題

さて、ここまで述べてきた地域猫活動ですが、いいことばかりではありません。まだ沢山の課題が残されています。課題に対する解決策を探していくのも、今後は重要になってくるでしょう。どんな課題なのか、それを少し記しておきます。

地域住民の理解

まず上げられるのは地域住民からの理解を得るのが難しいことです。野良猫から被害を受けてきた人にとって、「猫を保護し、地域で管理していく」という活動は受け入れ難いものなのです。結果的に管理した方が被害が減るのだとしても、です。今まで散々迷惑をかけられた相手を「保護します、被害が減りますので理解してください」なんて言われたら、理屈が分かっていても感情面で納得のいかない方がいるのは当たり前なのです。
理解が得られなければ地域内での対立が生まれたり、地域猫への迫害がおきてしまったり、活動そのものが妨害されてしまったりといったことになりかねません。
地域住民の理解をどう得ていくのか。活動の成果で示していくしかないのですが、なかなか難しいというのが現状です。

捨て猫が持ち込まれてしまうケース

「この地域なら猫を捨てても可愛がってもらえる」と誤解され、新たな猫が遺棄されてしまうケースも報告されています。猫の繁殖力はとても高く、せっかくTNR活動を行って地域にいる猫の頭数を抑制しても、新たに不妊手術を施されていない猫が放たれてしまうと、それまでのTNR活動が意味をなさなくなってしまいます。
こういった事例への対策として、地域猫活動の正しい活動内容を周知していく必要があるのですが、まだあまりきちんと知られていないというのが現状です。

活動予算、人手などの課題

地域猫活動にかかる予算や人手もバカになりません。人手はほとんどがボランティアです。予算は行政から支援があるところもありますが、募金に頼る部分が大きいのも事実です。捕獲した猫を不妊手術するための運搬・手術前後の管理などを課題として上げている団体もあります。

まとめ

いかがでしたか?本当はもっとたくさんの問題や、もっと詳細に紹介したい活動内容があるのですが、一つの記事でお伝えするのには限界があり……今回は「地域猫ってどういうもので、地域猫活動を行うと何がどうなるのか」という概要をご紹介するに留めました。少し硬いお話もありましたが、「ふぅん、そうなんだ」という程度にでも良いので、頭の片隅に留めて頂ければと思います。
なんとなくしか知らなかった人もきっと多いだろう「地域猫」のこと。「野良猫の保護活動」と合わせて、となりねこでは今後も積極的に発信していく予定です!
人と猫が共存していくために、この記事が理解を促す一助となれば幸いです☆

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