猫はどこからやってきたの?愛する猫のルーツ・歴史まとめ

私たち猫好きにとってなくてはならない存在となった猫。
賢くて愛らしく、時にはいたずら好きで不思議な動物です。端正な顔立ちから気高さを感じるときもある猫っていつ頃、どこで生まれたのか、また私たちの身近にどんなふうにやってきたのか知りたくはありませんか。
そんな猫の起源・歴史について調べてみました。

猫の起源について

ネコ科の動物について動物学的には哺乳綱食肉目ネコ科、つまりライオンなどの大型のものからイエネコまでのグループを指していいます。5属40種類にもなります。5属とはチーター属、ヒョウ属、ネコ属、イリオモテヤマネコ属、そしてウンピョウ属になります。
猫の起源を調べようと現在から遡るととても興味深いことが分かります。
私たちの身近にいる猫たちのルーツについてご紹介します。

ネコ科動物の祖先

今から6500万年前に肉食の哺乳類が誕生しました。
そしてその後進化し4000~5000万年前に「ミキアス」が誕生したのです。このミキアスからクマや犬、猫に進化したとされています。体長は約30cmでイタチのような姿をしていたと推定されています。
このミキアスから4つの群(ホプロボネウス亜科・マカイロダス亜科・ニブラブス亜科・ネコ科)に分かれ、このうちのネコ科に現在生息するネコ科動物が属するのです。
2000万年前にミキアスから「プセウダエルルス」に進化し1800万年前に「シザイルルス」と「マカイロドゥス(サーベルタイガーへ進化))に分かれ1200万年前にネコ科が誕生したとされています。
従って、猫の祖先は2000万年前に生息していたとされる「プセウダエルルス」という説が有力とされています。

ネコ科動物の系統について

猫の祖先としてプセウダエルルスとされていますが、中でも1100万年前頃にアジアで生息されていたヒョウに似た捕食動物がネコ科動物の始まりで約1000万年かけて枝分かれしながら進化してきました。
37種類になるそうですが、遺伝的には8つのグループ(系統)に分けるのが妥当とされています。
2017年4月にネコ科動物の専門家によりネコ科動物を2つの亜科(ヒョウ亜科・ネコ亜科)、8つの系統(ヒョウ系・ボルネオヤマネコ系・カラカル系・オセロット系・リンクス系・ピューマ系・ベンガルヤマネコ系・ネコ系)、14の属、41の種、80の亜種に分類するのが現時点においては妥当であるとされました。
この8つの系統の中のネコ系はネコ科動物の中で体重が1~10kgと最も小柄な部類でイエネコ・ヤマネコ・スナネコ・クロアシネコ・ジャングルキャットが属していますが、イエネコが現在私たちの身近にいる猫たちなのです。

猫の歴史とは

数千万年前に元凶となるミアキスが誕生し、その後様々な進化及び分化をしてきておよそ1200万年前にネコ科が誕生しましたが、ここでは私たちの身近にいる猫の歴史についてまとめてみました。

イエネコの祖先って

世界中にネコ科動物が散らばったのは1100万年前頃にアジアで生息していたネコ科動物が地球上の海面の高さが低くなったのを機にアフリカや北アメリカへ渡ったことが始まりです。特に盛んに渡ったのは100万~400万年前といわれています。
しかし、その後戻って来て中近東、地中海沿岸エリアに生息したのが今のイエネコの祖先とされています。
因みにミトコンドリアDNA解析によると遺伝的、形態的にもイエネコと大差ないとされるのがヨーロッパヤマネコとリビアヤマネコという結果が出ています。
さらに生物学的から見ると体の形や頭蓋骨の形態からいくとリビアヤマネコが家畜化されたものが現在のイエネコの起源ともいわれています。
イエネコの中でアビシニアンがリビアヤマネコの姿に最も近いようです。

家畜化された理由と時期

猫が家畜化されたのは明確ではないですが、約9500年前のキプロス島のシルロカンボス遺跡から化石として人骨とともに埋葬されているのが発見されたため9500年前頃であろうとされています。
推測される理由としてはリビアヤマネコが生息する地中海東部からペルシャ湾までの一帯は9000年以上前に農業が始まったエリアであり、収穫された穀物目当てに出現するネズミを食べるために野生の猫が現れました。
この時出没した猫とはヨーロッパヤマネコとリビアヤマネコで獰猛ながらもリビアヤマネコは温順な性格のため人間にとって飼いならしやすかったため家畜化されたのはリビアヤマネコだったといわれています。

猫と人間の共存

前述したように人間が作った作物にネズミなどのげっ歯目類の動物が集まることによって捕獲する猫も集まるというトライアングルができます。
人間の集落が持つ猫にとってのメリットの残飯が豊富で雨風がしのげてキツネなどの天敵もいないという安全性などから猫と人間の共存へと進んだのでしょう。

古代エジプトでの猫って

古代エジプトでは紀元前4000~5000年頃に害獣駆除のために猫を家畜し始めたとされます。
エジプトにはジャングルキャットとリビアヤマネコが棲んでいたのですが、気性の荒いジャングルキャットを慣れさせることが難しく気性の温和なリビアヤマネコが家畜化し重宝されたようです。
エジプトでは動物を精霊の化身として宗教的な崇拝対象としていました。
紀元前3100年頃にトーテミズム(崇拝主義)が確立され紀元前2000~1500年頃にオス猫が太陽神ラーの象徴として描かれました。
紀元前1500~1200年頃には女神ハトホルの化身として猫が神格化されました。
その後、「バステト神」として猫が全盛期を迎えたのは第22王朝時代である紀元前945~715年頃とされています。
猫が死ぬとその死体処理としてミイラ化されたとありますが、当初は自然死の猫のミイラだったのが人為的に殺された子猫をミイラにした形跡があると大英博物館の調査による結果が出ています。
紀元前3世紀頃からこうした猫のミイラをブバスティスに参拝する巡礼者に対し寺院へ捧げるものとして売られるようになったことが要因ともいわれています。
この他、猫は薬としても利用されました。糞は腹痛やフケ症、脂肪は神経痛に塗布する軟膏を作成するのに使われたようです。

中世のヨーロッパでは猫にとって暗黒時代

猫がエジプトからヨーロッパへ渡ったのは紀元前1000年頃にエジプトと交易にあったとされるギリシャ人やフェニキア人の商人によるものとされています。
やはりネズミ狩りをしてくれるということで戦地への同行や航海するときに重宝がられていました。
しかし5~15世紀にかけての猫には「魔女の手先」といわれ、特に黒い猫は邪悪とイメージづけられて迫害されました。
猫を飼っている独身の女性がいると「魔女」と見なし魔女裁判にかけられて飼い猫とともに生きたまま「火あぶりの刑」に処せられました。
このようなことが続き猫の数が減少したためネズミが殖えてネズミが媒介する「黒死病(ペスト)」が流行したといわれています。

いつ日本へやってきたの?

今では身近な存在の猫たちですが、日本にやってきたのは「飛鳥時代」ではないかとされています。
680年頃、天武天皇の時代に中国から盛んに経典などが輸入されたのですが、その輸入船にネズミから書物などを守るために猫が乗せられたようです。その猫たちが日本の地を踏んだのが始まりといわれています。
猫はシルクロードを通じてアジアに広がり中国にも来ました。そして中国から日本へというルートですね。

猫と呼ばれる理由

何故「猫」と呼ばれるようになったのか、その語源については残念ですがはっきりと解明されていないのです。
もちろん様々な説があります。ネズミを好むことから「鼠好→ねこ」、よく寝ることから「寝子→ねこ」、鳴き声から「ねうねうこ→ねこ」、猫の頭が鵺(ぬえ)の頭に似ているところから「ぬえこ→ねこ」などなど他説に渡ります。猫は名前ひとつにしてもミステリアスな動物ということでしょうか。

日本文化に貢献する

猫は日本の文化の中にもかなり浸透しています。
「まねき猫」や室町時代に描かれた東福寺にある「涅槃図」、三味線の胴の部分、日光東照宮にある国宝の「眠り猫」、猫又伝説などがよく知られています。
また「吾輩は猫である」など小説にも数多く登場するものも外せませんね。

まとめ

猫についてアメリカのドリスコールやジョンソンを中心とした世界中の研究者からなる国際キャットゲノム研究チームによるゲノム解析によって猫の起源はエジプトからメソポタミアまで広がる半月状の地域であり、さらに地中海東部沿岸に生息していた5匹のリビアヤマネコの母猫のうちのどれかの血筋を家畜化されたすべてのイエネコ、すなわち現在の猫たちが受け継いでいるという驚くべき結果が出たそうです。
今回、猫のルーツについて興味深いことがたくさん分かりました。
いつもそばで可愛い姿を見せてくれている愛猫たちがより一層大切なそして神秘的な存在に思えてなりません。

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