猫ってツンデレで表情にあまり感情が出ない気まぐれ屋さんというイメージを持たれる方も多いのですが、実は「ボディランゲージ」といわれる鳴き声や耳、ヒゲ、しっぽなど全身を使って感情の表現をするという感情豊かな強者なのです。
猫の行動はそれぞれきちんとした意味があり、その行動をとることにより猫が何を言いたいのか、また伝えたいのかが分かればもっと愛猫のことを理解することができますよね。そんな中で今回は「頭突き」という感情表現について焦点を絞ってみました。
猫が頭突きするのって?
猫がいきなり頭を足や体にぶつけてきたりこすりつけてきたりすることがあります。
これは「頭突き」といわれ猫が様々な意思表示をしていると言われています。
飼い猫はもちろん、野良猫でも頭突きをしてきて驚かされますが、嫌な気はしませんよね。何か言いたいのかなと考えてしまうことがありますよね。
では気になる猫の頭突き現象についてご紹介していきたいと思います。
頭突きするときってどんな気持ち?
一般的には猫が頭突きをしてくるときは相手に対して好意を持っている場合がほとんどです。気持ち的には相手のことが「大好き」だから頭突きというしぐさで甘えるともいわれます。
そしてそれは対象が猫だけでなく人や他の動物にでも心を許した相手にするようです。また相手が人であったりすると「撫でてほしい」という気持ちを持っていることもあります。
飼い主さんは愛猫が頭突きをしてきたらすかさず撫でてあげてください。
なぜ頭をこすりつけるの?
頭をこすりつけるのは「マーキング」の行動とされています。
猫の頭や顔には自分の匂いを分泌する臭腺があり、場所としては額の両側(側頭線)、唇の両側(口周囲線)、顎の下(下顎下線)になります。
頭突きや頭を大好きな相手にすることによって「自分のもの」というテリトリーをつくるのです。
このこすりつける行為は人や生き物だけでなく家具や物、場所を対象とします。
頭突きしてくる理由は?
猫がいきなり頭突きをしてくるとびっくりすることがあります。優しく押してくることもありますが、かなり強くグイッと押したりゴツンとぶつけられると結構痛いものです。
愛情表現であるという頭突きですが、誰にでもするというわけではなく大好きな人にだけ頭突きをします。猫にしてみれば猫なりの理由がきちんとあるのです。
ここではその理由について掘り下げてみました。
挨拶のつもり
挨拶の意味の頭突きは仲のいい猫同士や飼い主さん相手にします。
猫同士の場合は軽く「やあ!」といった感じですが、愛情のこもった挨拶になります。
また飼い主さんとの場合は朝起きたとき飼い主さんの顔を見たときや飼い主さんが外から帰ってきたときに近寄って来て足に頭突きしてきたりします。これは安心した気持ちと嬉しさを込めた愛情表現ですね。可愛くて思いっきり抱きしめたくなります。
仲間の確認、愛情表現
猫同士で頭突きや体をこすり合うことを「アロラビング」と呼びます。これは仲間同士であることを確認している行動なのです。
いつも一緒にいる猫同士というよりたまに会った猫同士がよくすると言われていますが、稀に同居している猫同士でもしょっちゅうする子たちもいます。この場合はお互いに安心感を求めているのでしょう。
親や飼い主さんへの愛情表現
親猫に対して子猫が頭突きするのは親に甘えている行為です。
そして子猫が飼い主さんに頭突きをしてくるのは飼い主さんのことを「親」と思い甘えているのです。
成猫が飼い主さんに頭突きをしてくる場合は飼い主さんのことを受け入れ、信頼している証拠です。また、成猫が頭突きをしてくるときは何かを要求するという意味があるようです。
何を要求しているかはその猫の取り巻く環境によって違います。ゴロゴロと喉を鳴らしながら頭突きをしてくる愛猫って愛おしいものですよね。
マーキングの意味
猫は縄張り意識が強く、自分のテリトリーを確保する生き物です。
たとえば飼い主さんが外出から帰ってきたときは「飼い主さんは自分のもの」という考えからまずは匂いを嗅ぎ、また新たに自分の匂いを飼い主さんに付けるために頭突きをします。猫は独占欲も強く、焼きもちやき屋さんでもあるのです。
それから猫が家具や部屋の壁、柱などにも頭突きもしくは体をこすりつけながら歩く姿を目にしたことがありませんか。いわゆるパトロールしながら頭突きをする行為も猫にとってはマーキングすなわちテリトリーの確保、確認の意味があります。
異性への愛情表現
猫がよく頭突きをする理由として異性の犬と同居している場合が多いともいわれます。これは子猫の頃から異性の犬と同居している猫で相手が人間でも同じでオス猫はメスの犬、女性の飼い主さんへ、メス猫はオスの犬、男性の飼い主さんへ頭突きすることで異性への愛情表現をしているとされています。
頭突きが異性への愛情表現である場合があるというのには驚きですね。
成猫の場合、何かを要求している
子猫の場合は甘えるという純粋な愛情表現ですが、成猫の頭突きしてくる場合は飼い主さんへの愛情表現にも書きましたように甘える以外に猫の要求が加わります。内容は「お腹が空いたからごはんをちょうだい!」や「寒いからベッドへ入れて!」「撫でて!」「外に出して!」など尽きません。
その愛猫の生活している環境によって違いますが明らかに要求しています。どういう要求かを一緒に暮らしている飼い主さんは自然に分かるようになります。
また時間に余裕のない飼い主さんは忙しくてなかなか愛猫の相手をしてあげられないために猫が寂しい思いをしていないか振り返ってみてはいかがでしょうか。寂しさから甘えて頭突きしてくることがあるようですよ。
頭突きされたときの対策って
猫が頭突きをしてくるには愛情表現という理由があります。
愛猫が頭突きの行為をしてきたときは、まずは優しく話しかけながらあごをかいてあげたり全身を撫でてあげたりしてスキンシップをしてください。そうすることによって猫は満足し信頼関係が強まります。
その後、必要に応じて要求を叶えてあげるといいでしょう。
頭突きとセットの愛情表現とは
頭突きにも様々な理由の愛情表現があることが分かったのですが、その頭突きをする前にとる行動も興味深いものです。
よく見かける行動ですが、ご紹介します。
しっぽをピーンと立てて近づく
猫が歩いているときにしっぽをピーンと立てているのをよく目にします。これは機嫌がいいときだと認識していましたが、このときの猫は喜んで甘えているという気持ちと何かをしてほしいと欲求しているようです。
また親愛の気持ちがありしっぽが真っすぐに立っていればいるほど愛情度も信頼度も高いといえるでしょう。
多頭飼いしているとそれぞれの猫の信頼度の違いを目の当たりにします。
でも飼い主さんとしては愛猫がしっぽをピーンと立ててにゃんこウォークしている姿を見ると嬉しいものですよね。
体をこすりつけてくる
よく猫が近寄って来て体をすりすりとしてくることがありますよね。この時の猫は抱っこしてほしい、ご飯が欲しい、撫でてほしいなど何かを要求しています。
また親や兄弟同士でもすりすりしているのは信頼している相手に対し、親しみや愛情を表現しているのです。
猫の臭腺は頭や顔の周りだけでなくしっぽの付け根や肛門のあたり、肉球にもあるので体をこすることによって匂いづけになり自分のものと主張しているのですね。
まとめ
「頭突き」という言い方を見るとガツンときつい当たりを想像してしまいがちですが、決してそのようなことはなく少し強めに押すという感じで感情には「甘え」が根底にあるように思われます。
猫を飼い始めて始めのうちは頭突きをしてはくれません。だんだん慣れてきて心を開いたときにとってくれるボディランゲージの1つですよね。
信頼関係の表れでもある頭突きをされると飼い主さんにとっては至福の時ではないでしょうか。