飼い主さん必見!猫の激怒症候群(レージ・シンドローム)とは?

猫はマイペースで気ままな性格の動物です。
あまり構い過ぎると怒って噛んできたり飼い主さんの気が自分から逸れていると思うと邪魔をしたりと気が付くと何かと振り回されています。それが猫を飼う醍醐味でもありますよね。
時々、いきなりガブリと噛んでくることもある猫なのですが、よく噛み猫といわれるような猫でも年齢と共に噛まなくなってきますし、普段の気質はおとなしい猫でも急にご機嫌ナナメだったりすると激しく攻撃してくるのはよくあることです。
皆さんは何の前触れもなく攻撃してくる激怒症候群(レージ・シンドローム)をご存知でしょうか。元々犬に多いとされている病気ですが、最近では猫にも見られるようになってきたようです。
その激怒症候群(レージ・シンドローム)について調べてみました。

激怒症候群(レージ・シンドローム)って?

「激怒症候群」という病気、名前の如く激しい怒りに突き動かされる行動をとるのかなと想像するのですが、この病名は1990年代の後半にイギリスで「犬の病気」として獣医師が命名したとされています。日本では「突発性攻撃行動」という病名に値するようです。
元々は犬の病気とされていたのが、数年前くらいから猫にも発症していると判明したもののまだまだ分からないことが多いといわれています。

どんな病気?

激怒症候群とは何の前触れもなくいきなり激しく攻撃してくる原因不明の行動を指します。
脳神経系に異常が起きる発作である「てんかん」が関係しているのではないかといわれていますが、まだ不明な部分が多いのも事実です。
またある日突然に攻撃が始まるので戸惑われる方も多いようです。
症状としては次のようになります。

  • いきなり激しく攻撃をしてくる
  • 攻撃のきっかけが一貫していないため対処ができない
  • 周りのことが理解できていないため辺り構わずに攻撃してくる
  • ウトウトと浅い眠りに就いているときに起こりやすい

発作的に凶暴になり飼い主さんやそばにいる人や物に襲い掛かるのですが、しばらくすると普通の状態に戻ってしまうのです。

原因とは?

原因として言われているのは脳神経系の異常である「てんかん(大脳の神経細胞に異常な電気的興奮が起こり、脳から全身への伝達信号の異常により発作が起きる病気)」が関係しているとされています。
脳から体へ送られる信号が攻撃的な性格へと変化させているということです。

発症するのはどんな猫?

発症するのは比較的若い猫、だいたい3歳未満に多いといわれます。中には1歳未満で発症する場合もあるようです。

治療方法

疑わしい症状が見られたらまずはかかりつけの病院で相談をして専門医を紹介してもらいましょう。そこでカウンセリングを受け検査をしてもらい治療に入ります。
てんかんと診断されたら発作を抑える抗てんかん薬を処方してもらいます。
抗てんかん薬を与えることによって発作が抑えられることもあるようです。

完全に治る?

激怒症候群は先天性の体質であり残念ながら完全に治ることはありません。
診断されたら定期的に受診しながら一生この病気と付き合っていくしかないのです。

誤解されやすい行動

激怒症候群は突然攻撃してくるため飼い主さんでもなかなか防ぐことができないです。そのためちょっと飼い猫がいきなり激しく攻撃してくると恐怖心から激怒症候群ではないかと疑ってかかることがあるかと思われます。
しかし、猫から突然攻撃されたからといってすべてが激怒症候群とは限らないのです。
ここでは勘違いされやすい行動についてご紹介します。

愛撫誘発性攻撃行動

愛猫がご機嫌でおとなしくくつろいでいるので優しく撫でていると気持ちよさそうにしているため撫で続けていたら、いきなりガブっと噛んでくることがあります。その豹変ぶりに驚かされ恐怖に感じてしまわれる人もいるのではないでしょうか。
これは「愛撫誘発性攻撃行動」と呼ばれるもので、猫はしつこく撫でられると噛みつくことで「やめて!」と意思表示をするのです。目安として猫がイカ耳になったりしっぽを大きく振っていたら次はガブっときますよ。
これは激怒症候群ではありません。

捕食性攻撃行動

猫には本来獲物を捕まえたいという狩りの習性があります。そのため歩いている人や寝ている人の手足を突然ガブリと噛んでくることがあるのです。
これは人の手足を獲物と思い攻撃してきます。本気ですからかなり痛いです。
日頃から手足にじゃれさせて遊んだりしているとますます狙ってくるようですから気をつけたいものです。

恐怖性・防御性攻撃行動

愛猫を動物病院へ連れていくと獣医さんや看護士さんに威嚇したり引っ掻いたりして暴れることがあります。この場合、知らない場所や人に怖いと感じたり以前注射や手術などで嫌な思いをした記憶により攻撃してくるのです。
猫は強く恐怖を感じると身近な何かに攻撃を加えるようになるといいます。
恐怖性・防御性攻撃行動は特に臆病な性格の猫に多いようです。

転嫁性攻撃行動

これはズバリ八つ当たりをすることです。
猫が何らかの刺激を受けたことによって興奮したときに傍にいる人や動物に攻撃することがあります。同じような状況になると繰り返すこともあるようです。
身に覚えのないのに八つ当たり攻撃されると「もしかしたら激怒症候群?」と思えるかもしれませんが、転嫁性攻撃行動であり激怒症候群ではありません。

激怒症候群の見極めポイント

普段穏やかな猫が突然豹変して攻撃的に凶暴化する激怒症候群。
生まれつきの病気であることや類似した行動があるためなかなか分かりづらいものです。
うちの子はどうかしら?と思っている人のための見極めるポイントをご紹介します。

ある日いきなり凶暴化

激怒症候群は猫の持つ本来の性格には関係なく、ある日突然に攻撃が始まるのです。
今までは穏やかでおとなしかった猫でも急に発症するので初めは戸惑うと思いますが、自分だけで抱え込まずにすぐに獣医さんに相談されることをお勧めします。
発症すると一生のお付き合いになりますから。

攻撃のきっかけが無い

通常、猫の攻撃行動には嫌なことをされたことに対する不快感や怒り、恐怖心などの攻撃の原因もしくはきっかけがあります。
しかし、激怒症候群の場合は一貫した理由が無くいきなり攻撃してくるのが特徴です。
対する飼い主さんから見れば対処のしようがないですよね。

眠りが浅いときに攻撃してくる

先ほどからも申し上げているように激怒症候群はてんかんに関係しています。
てんかんの発作が浅い眠りのときに起こりやすいのと同じように激怒症候群もウトウトしていたり寝起きにときにいきなり攻撃してきます。

威嚇なしに攻撃する

普通の攻撃行動をする前には「シャーッ!」「ウーッ!」と唸り声をあげて威嚇行動をします。
またそんなときに飼い主さんがシャットアウトすることも可能ですよね。遮断されて沈下することもあります。
しかし、激怒症候群の場合は何の前触れもなくいきなり激しく攻撃してくるので防御ができません。もちろん制御不能です。

猫のてんかんとは?

激怒症候群がてんかんの発作と関係しているとされていますが、そもそも猫のてんかんとは一体どのような病気なのかをご紹介します。

原因とは?

てんかんの原因となるものには大きく分けると脳の構造の異常によるものと遺伝的なものになります。
脳の構造の異常とは脳腫瘍、脳炎、脳の奇形、脳の損壊をいいます。
また6ヶ月齢未満の子猫や今まで元気だった5歳以上の成猫が発作を起こした場合は先天性・後天性疾患の可能性があります。
ある研究によると高齢の猫に「高い音」を聞かせるとてんかん発作が起きる引き金となるらしいです。
そして2つ目の原因である遺伝的なものについては脳を調べても異常が見られないにも関わらず発作が起きる場合は遺伝的なものとして診断されます。

症状とは?

てんかんは脳内の神経細胞に異常が起こり体のコントロールが効かなくなってしまう状態です。
症状としては四肢の硬直、痙攣、口から泡を吹く、失禁、そして昏倒します。しかし、発作が収まると何事もなかったように元に戻ります。
また「発作後行動」と呼ばれる発作が起きてから回復するまでの間に意味もなく歩き続けたりやたらごはんやお水を欲しがるような様子を見せることがありますが、普通は24時間以内には収まります。
発作が10分以上続くようなら通常のてんかんとは違い早急な処置が必要となる脳の外傷や中毒の場合がありますので獣医さんに診断してもらってください。
てんかん発作を起こした後、おしっこが出なくなる「排尿困難」になることもあるようなのでそんなときは獣医さんに人為的に排尿してもらいましょう。猫の体は排尿が滞ると腎臓に負担がかかり命の危険にさらされることがあります。

まとめ

一般的に猫はマイペースで気ままな動物とされています。そのときの気分でコロコロ態度が変わるという面も持っているため、いきなり激しく攻撃してきてもあまり気にしないという飼い主さんもいると思います。
しかし、それが激怒症候群だとしたら飼い主さんや他の動物がケガをすることがあります。
愛猫の様子を見ていて見極めポイントが見受けられるようでしたら一度獣医さんにご相談されてはいかがでしょうか。

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