飼い主さんにとって愛猫が今どんな気持ちでいるのかとっても気になるところですよね。
一般的に猫の感情が表れるとされるのは鳴き声やヒゲ、しっぽや寝相などがあげられるのですが、更にもうひとつ猫の感情を見分けやすいのが猫の耳なのです。耳の状態によって猫のきもちが手にとるように分かるのです。
そして猫の耳は感情を表わす他、猫の聴覚は哺乳類ではズバ抜けて優秀であるためいつも周りに対するアンテナを張り情報をキャッチするとっても優れたツールでもあるのです。
その猫の耳についてまとめました。
猫の耳ってどんなの?
猫の魅力の1つでもある耳。三角でちょこんと小さいのやら大きな三角、そしてカールしたり折れていたりと様々な形があります。
見た目は可愛いのですが、かなりの優れものである耳のおかげで猫のことを「聴覚の動物」と異名を持つほどです。
その猫の耳の構造や能力についてまとめました。
耳の構造
猫の耳の構造は人間と同じしくみであるとされています。耳介より順にご説明します。
- 耳介(じかい)
耳全体のひらひらの部分を指します。猫が音のする方向へ耳を向けたりしますが、音を集約するパラボラアンテナの役目をしています。 - 耳道(じどう)
音を通す道のことで垂直耳道と水平耳道があります。耳介から縦穴に下りている部分を垂直耳道、その続きで横に伸びている部分を水平耳道といいます。形状は垂直耳道から水平耳道がアルファベットのL字のようになっています。 - 鼓膜(こまく)
耳道を通って来る音を響かせる薄い膜のことです。音によってこの膜を振動させることにより鼓室へ伝える役目をしています。 - 鼓室(こしつ
鼓膜の奥にある小さな空間で、中には入ってきた音を20倍以上に増幅させる耳小骨(じしょうこつ)と呼ばれる骨があり「つち」「きぬた」「あぶみ」の3つで構成されています。耳小骨は体の中で最も小さい骨のようです。 - 耳管(じかん)
鼓室の空気圧を大気圧と同じにするために鼓室と口内をつなぐ管といわれています。 - 蝸牛(かぎゅう)
形がカタツムリに似ていることから名称がついたようです。外部から入ってきた音を信号に変換して脳へ送信する中継装置のようなものです。猫の蝸牛の長さは人間の3分の2程度で、蝸牛内にある有毛細胞数は人間より10000本少ない12000本しかないのですが、神経節細胞から伸びる神経線維の数は人間より10000本多い40000本あるため人間より広い範囲の音を聞き取る能力があるようです。因みに蝸牛の隣にある3本の管は「三半規管(さんはんきかん)」と呼ばれるバランス感覚をつかさどる役目をしています。
耳介のタイプ
猫の耳介の種類について本来はあまりバリエーションがなかったのですが、1800年代頃より猫種が増えだした(選択繁殖)ことで品種特有の耳介のタイプが出来てきたといいます。
耳介の位置
- ノーマル(Normal)
最も多くみられる位置です - フレアベース(Flare Base)
耳の付け根が少し広がっている状態でロウソクの炎に似ていることからフレアベースと呼ばれています。 - ワイドセット(Wide-set)
耳の先端が外側に向かっており、耳と耳の間が離れて見えることからワイドセットと呼ばれています。 - クロースセット(Close-set)
耳の先端がワイドセットとは逆で内側に向かっており、両耳の間が近づいている状態のことです。
耳介の形状
- プリック(Prick)
ピンと立ったたち耳のことで、最も一般的なタイプです。 - ルースフォールド(Loosely Folded)
前に少し折れ曲がった耳で半折れ耳とも言われます。 - フォールド(Folded)
折れ耳のことで前に完全に折れ曲がっている耳のことです。スコティッシュフォールドがその代表格ですね。 - カール(Curled)
巻き耳ともいわれ後ろへ巻き上がった耳のことです。アメリカンカールが代表格ですね。 - フラッピー(Floppy)
軟骨が柔らかいため形が一定しない耳です。珍しいですね。
聞こえる音域(可聴域)
猫の可聴域は25~75000ヘルツとされており高音域に対する感度に優れています。因みに犬の場合は40~65000ヘルツ、人間は20~20000ヘルツですので猫の高音の聞こえる範囲がいかに優れているかが分かります。
また音程の聞き分ける能力も高く、猫が聞き取りやすい音は20デジベル、周波数でいうと250~35000ヘルツだそうです。猫の獲物となるネズミなどがコミュニケーションをとる際の周波数は17000~148000ヘルツといわれていますから狩りをするときに近眼である猫はこういった音を頼りに獲物を捕らえていたのでしょう。
耳の動きから分かる気持ち
「うちの猫って今、何を思っているのかしら?」「あの猫、怒っているのかな?」など飼い主さんや猫好きさんにとっても気になるところですよね。
ヒゲやしっぽと同じように耳の様子を見れば、猫の気持ちを知ることが出来ます。
猫ちゃんの耳をよく観察してみてください。
耳を前方向へピンと立てている
耳を前に向けてピンと立てているときは警戒しているか、「何だろう?」と興味津々になっているときです。猫は音を収集することによって多くの情報を得ようとしているのです。
外での場合は警戒しているのですが、家の中では自分が好む何かを感じ興味津々になっています。猫の視線の先を見て何に興味を持っているのかを見極めて気持ちを分かってあげてください。
耳を後ろ方向へ寝かせている
猫が後ろに耳をペタっと寝かせ付けているときは腹が立って怒っていたり大きな音に驚いたり敵が近いなどの恐怖心を抱いています。猫がケンカしているときも耳を寝かせて怒っているのを見かけますよね。
いずれにしても猫にとって居心地が悪く神経質になっているときなのでそっとしておいた方がよさそうです。
耳を横に寝かせている
この場合はご機嫌で気持ちがよくリラックスしているときです。触っても大丈夫ですが、リラックスしてくつろいでいるわけですから寄り添ってもその幸せなひとときを邪魔しないようにしてあげましょう。
耳をいろんな方向へ動かしている
猫がじっとしながら耳だけをピンと立ててあちこちへ動いているときがあります。この時は聞き慣れない音や声が気になり不安な気持ちになっているのです。音はどこから聞こえているのか、危険かどうかを確認しています。神経質になっているので優しく声をかけて不安になっている原因を教えてあげてください。安心させてあげることで信頼関係が深まります。
耳を動かさない
耳を動かさないときは何も思っておらずリラックスしているときです。うつらうつら居眠りしているときなどは耳は動かしません。
ただ「つまらないな。暇だな。」と思っているときも耳を動かさないため様子を見て遊んであげるといいでしょう。
耳を後ろ向きにピンと立てている
耳を後ろ向きでピンと立ってるときはイライラしてストレスを感じているときです。他事に気持ちが行ってるときや眠いときなどに人に触られると耳をこのような状態にします。拒否していると考えてもいいと思います。このような状態になった耳のことを巷では「イカロス耳」「イカ耳」と呼んだりします。人でもイライラしているときに関わられると腹が立ちますよね。
そんなときはそっとしておきましょう。
耳のケア
猫の耳の触り心地ってすべすべして少しひんやりとして気持ちいいですよね。おまけに可愛いからかとても人から愛されています。
その可愛い耳は情報収集のアンテナでもあり気持ちを表わすツール。
猫は意外と耳に触られるのが好きなようです。
ここではその魅力的な耳を健康に保つためのケアをご紹介します。
耳のお手入れ
猫の場合、頻繁に耳掃除をするのは控えた方がいいでしょう。まず耳の中を見て汚れがひどいようでしたら掃除をしてあげてください。汚れのチェックは1週間に1度くらいのペースでするのが望ましいでしょう。
猫の耳は途中で曲がっているので掃除で鼓膜を傷つけることはほとんどないのですが、力強くすると鼓膜に届くことがありますので気をつけましょう。まずはコットンにイヤークリーナーを含ませて見える範囲を優しく拭きます。細かいところはコットンを細かくちぎるか綿棒を使って垂直耳道の入口まで拭いてあげましょう。
間違っても犬の耳掃除のように耳の中にクリーナーを入れて揉むことはしないでください。猫の場合は中耳炎を起こしてしまいます。
また耳の奥の方の掃除については獣医さんにお願いした方がよいでしょう。
耳の病気のサイン?
猫の場合耳の病気は少ないのですが、掃除の前のチェックの際、次のような症状が見られたときは病気の可能性がありますので病院で診てもらうようにしてください。
- 毛が抜けている
- ニオイがきつい
- 赤くなっているまたは黒ずんでいる
- 小さい発疹ができている
- しきりに掻いている
- 耳の先端が変色、溶けている
- 耳が腫れている
- 音への反応が鈍い
まとめ
いかがでしたか。
猫の聴覚は五感の中で最も優れており耳の周りの筋肉が発達しています。そのため猫は耳のしぐさで自分の気持ちや感情を表し、私たち飼い主に伝えようとしているのです。
今まであまり猫の耳に注意していなかった猫の飼い主さんや飼っていなくても猫と触れ合うことが好きな方は耳の動きをよく観察し少しでも猫の気持ちを理解して楽しいにゃんライフを過ごしていただければと思います。