子猫が生まれるこの時期、子猫の遺棄だけでなく、なぜか成猫の捨て猫も増えるような気がします。地域猫活動のボランティアに参加している筆者の体験をもとにまとめてみました。もし野良猫に出会ったら、どう行動したらいいのか…ぜひ参考にしてみてください。
外で暮す飼い主のいない猫(野良猫)を見て、自由気ままでいいなと思われるかもしれません。じつは野良猫たちは常に命の危険にさらされています。まずは、飢えです。毎日ごはんを与えてくれる飼い主がいないので、次にいつ食べられるかわかりません。食べ物が手に入らないと、飢えから体力が弱まり、病気に侵されるなどして、亡くなってしまいます。また、多くの猫が冬は寒さによる凍死、夏は脱水死をしています。それに、交通事故も野良猫の死因の多くを占めています。室内外の猫の寿命は14~15年、野良猫の寿命は3~5年と言われているのは、このように常に命の危険にさらされ、生き残りが厳しいためです。野良猫を見かけたらやるべきことをぜひ知ってください。そして行動を!
STEP! ① ~地域猫じゃない?~
もしかしたら野良猫ではなく、地域でお世話をしている地域猫かもしれません。または、飼い猫が脱走して、路頭に迷っているのかもしれません・・・。
POINT1 耳カットを確認
耳がカットされている猫は、避妊去勢手術済みの可能性があります。通常は耳の先が三角にカットされます(カットが桜の花びらのような形なのでさくら猫といわれる)が、獣医さんによってはまっすぐ切る場合や、切込みが浅くて確認しずらい場合もありますので、よく見てみましょう。また、耳先はケンカ傷によってちぎれやすい場所でもあります。よくわからない場合は、地域の保護団体に地域猫ではないか確認をしましょう。
耳カットがある場合は、さくら猫として地域猫になっている可能性があります。痩せてなく体調も良さそうならば、給餌などのお世話をしてくれている方や団体があると思われます。
もし、痩せていたり、体調がよくなさそうならば、繁殖を防ぐためにとりあえず避妊去勢手術のみして、特に給餌などの世話をしてもらっていない場合もありますので、地域の保護団体に確認してみましょう。
POINT2 地域猫かどうか確認
耳カットがなくても、避妊去勢済みの場合もあります。手術済みの目印として耳カットを始めたのはまだ最近です。耳カットがなくても、捕獲などの行動に出る前に保護団体に問い合わせてみましょう。
また、飼い猫が逃げた場合もあるので、保健所や警察に迷い猫の届けがないか確認するのも忘れずに。
ということで、まずはその猫が本当に野良猫かどうか、保護団体や保健所・警察へ確認ですね(*´ω`)p
check!!
保護団体や飼い主に確認するためには、画像があると確認がしやすいので、とにかく写真を撮りましょう。世話をしている方でも、よく似た猫との見分けがつかない場合があるので、いろいろな角度から撮っておくと判別しやすいですよ!!
保護団体の探し方はこちらの記事を参考にしてみてください。
STEP!② ~捕獲!~
地域猫ではない、飼い主もいない猫ということがわかったら、捕獲します。猫の捕獲のための捕獲機は保健所で貸し出しています。また、保護団体や動物病院でも捕獲機を貸し出しているところもあります。人なれしていない猫で捕獲が難しいようでしたら保護団体に相談をしてもいいと思います。
〇避妊去勢手術をしていない場合は → 病院で手術&健康チェック → 里親を探そう!
〇避妊去勢手術が済んでいる場合は → 病院で健康チェック → 里親を探そう!
※避妊去勢手術が済んでいる(耳カットがある)ことが前提ですが・・・人慣れしていなく、捕獲が難しい場合は、地域猫としてお世話していくという方法もあります。避妊去勢が済んでいるので、そのまま外に放していてもさらなる繁殖の可能性はありません。
オススメ☆餌付けに重宝な食べのも☆
猫が来てくれやすい、捕獲の際に筆者が携行する食べ物はこんな感じです♪
- いなばペットフード焼きカツオ
- いなばペットフードCIAOちゅーる(近づくことができるなら♪)
- シーバデュオ
- いなばペットフードちゅるっとスティック(中に薬を仕込んで投薬にも使える!)
※捕獲目的や、地域猫活動以外の、むやみで無責任な餌やりはやめましょう(*´х`*)ъ
置き餌をすることも、カラス被害や虫の発生につながり衛生問題になり近隣の迷惑になるためやめましょう。
☆避妊去勢手術
猫は、繁殖力の高い動物です。
猫は交尾によって排卵、受精が起こるので、交尾があれば必ず妊娠します。妊娠期間は約2カ月で、一度の出産で4~8頭の子猫を産みます。そして、約2カ月で子猫が離乳すると、次の妊娠が可能になります。また、生まれた子猫は生後6カ月で妊娠可能になります。このように繁殖サイクルがとても早いのです。
環境省の計算では、1匹のメス猫が子を産み続け、またその子が子を産み、なんと3年後には2000頭以上に増えるとされています。母猫の避妊去勢手術をしなかったことで、多くの子猫が生まれ、そのほとんどは殺処分や、外の環境で育たずに死んでしまいます。
STEP!③ ~安住の居場所を見つける!~
お家の中に入れてあげれば、外敵がいない、車やにひかれない、飢えることもない安全な生活が送れます。でも、野良猫との出会いはいつも突然です。自分の家の子として自宅で飼うことができる方ばかりではないと思います。そんなときは、どうしたらいいでしょうか。
☆里親を探す
ある程度人に慣れているようであれば、里親を探しましょう。自宅に入れて、ケージを用意し、里親がみつかるまでは面倒を見ましょう。里親探しサイトや、譲渡会に参加するなどして里親募集をします。もし、住宅事情から自宅で保護できない場合は、地域猫として、外で過ごしてもらいます。外でのお世話の仕方は『☆お世話のPOINT☆』を参考にしてみてください。
【里親の探し方としては?】
まずは知人への声掛けやポスター貼りから始めて、TwitterやFacebookなどSNSでの拡散、里親募集サイトへの登録をしてみましょう。
ポスターはかわいい写真を選んで♡年齢、性別、特徴、性格、ワクチン・不妊手術の有無、連絡先、作成日を載せてなるべくわかりやすく!公民館やスーパーなどの掲示板、動物病院などに貼ってもらいましょう(o’∀`o)ノ
虐待目的などの里親詐欺もあります、譲渡する方との関係や距離が離れるぶん心配になると思います。譲渡の際には身分証明書のコピーをもらったり、できれば引渡しの際などに家を見学させてもらいましょう。そして必ず終生飼育することを約束してもらいます。
譲渡後の猫の安否を確認できるという面でも、できるだけ身近な方に里親になってもらうのが理想です。周りへの声掛け、ポスター貼りから始めるのがいいと思います。
☆地域猫へ
人慣れしていなくて捕獲が難しい場合、住宅事情から家に入れることができない場合は、地域猫としてお世話をしましょう。毎日餌やりをしていると、次第に慣れてくることもあります。シャーシャーだった猫が、餌やりをしているうちにスリスリゴロゴロにまでなる事も☆ もしそうなれば、里親を探すことも可能になります。根気のいる事ですが、あきらめずお世話をしながら里親を探しましょう。また、その様子を見ている猫好きの方もきっといるはずです。協力してくれる方もいるかもしれません。頑張りましょう!
近くに地域猫活動をしている保護団体があれば、そこの猫たちに仲間入りができないかなど相談してみてもいいと思います。
☆お世話のPOINT☆
- 同じ時間・同じ場所で餌やりをする
- 餌を置きっぱなしにしない
- トイレを設置する
- 餌やり後の清掃やウンチ拾いをして美化につとめる
人に慣れている猫のほうが里親が見つかりやすいですので、外でのお世話の時もこまめに面倒をみて、おやつをあげたり、なでてあげたりして人なれ促進を♡
☆シェルターへ
里親を探す余裕もない、地域猫として面倒を見る時間もない…。いろいろな事情があると思います。しかし大切なことは、とにかくそのままにしておかない事、ふたたび捨てない事、だと思います。保護団体はいくつもあります。通常は「保護した方がご自分で世話をし、里親をさがしましょう…」と受け入れをしていない保護団体がほとんどだと思いますが、多くある保護団体の中には受け入れ可能な団体もあります。せっかく拾った命を再び捨てることにならないよう、あきらめず受け入れ可能な団体が見つかるまで、保護施設やシェルターへ相談してみましょう。
まとめ
過酷な外の環境で好きで野良猫をしているわけではありません。もともとの野良猫なんていないのです。人間に飼われていた猫が捨てられた。また、その捨てられた猫から生まれた猫なのです。野良猫の問題は、人の問題なのです。だから大切なのは、野良猫を放置しないということです。
動物愛護法によって定められていますが、動物の虐待はもちろん、遺棄(動物を捨てること)は犯罪なのです。もし虐待や遺棄を目撃した場合は、110番通報しましょう。その時の画像や動画を撮っていれば重要な証拠になります。もし、捨てられている猫を発見しただけで、現行犯でなく犯人がわからない場合でも、捨てられている状態を写真に撮って通報し、パトロールを強化してもらいましょう。残念ながら、警察官の方でも犯罪であることを知らない場合があります。動物愛護法44条により動物の遺棄は犯罪と定められていることをきちんと伝えましょう。
最後に、野良猫に近づくときの注意点です。
猫たちは、外で生活するうちに色々な菌やウイルスを持っている可能性があります。野良猫とかかわる中で、ひっかき傷や咬み傷を負ったら浅い傷だったとしても、必ずすぐに洗浄と消毒をしましょう。患部が腫れたり発熱したらもちろんですが、深い傷ではなかったとしても、病院で受診することをおすすめします。受診の際には、野良猫による外傷ということを伝えましょう。