私たちはいくつまで猫を飼えるのでしょう?猫の飼育可能年齢について

今はまだ、猫を飼える環境が整っていないけど、いつか猫を飼いたいと思っている方も多いと思います。
先日、保護猫をテーマにしたTV番組で、猫の保護団体が里親募集するさいの条件というものが紹介されていました。その譲渡条件の中に「60歳以下のかた」という年齢制限がありました。その番組内では、なぜ年齢の制限があるのか、厳しすぎる!とか、里親になるチャンスがうばわれるのでは?など、様々な意見が出ていました。保護猫についての話題がTVにとりあげられることや、その話題で盛り上がることは自体はとてもいいことだと思いました。
しかし、なぜ年齢制限があるのでしょうか、そこまで飼い主の年齢は重要なのでしょうか?私たちは何歳まで猫を飼えるのでしょう。
このブログでは、猫を飼い始めることができる年齢に、制限を設けている保護団体やペット業者があること、年齢を制限される理由について書いています。ぜひ参考になさってください。

年齢制限があるの?

ペットを飼育する飼い主の年齢制限が、法律で決まっているわけではありません。しかし、命を大切にする良心的なペットショップやブリーダーでは高齢のかたへの販売を禁止されているところや、詳細を確認されるところもあります。ペットを販売するさいは、事前に対面での説明をしなければなりません。その時に、本人が病気や死亡で飼えなくなっても面倒を見る人がいるかなどを確認されたり、または保証人を要求されるかもしれません。
猫を飼おうと思った時に他の手段として、保護猫を迎え入れるということもできます。最近は保護猫活動も進んで活発になり、サイトでの募集や譲渡会、保護猫カフェでの譲渡など様々な手段があります。ペットの保護団体では、譲渡にさいして里親に年齢制限を設けているところがほとんどです。各団体や里親募集サイトを見てみると、だいたい60歳~65歳までくらいで制限があるようです。
なぜ飼い主になるかたの年齢に制限を設けているのでしょうか、それには理由があります。

年齢制限の理由

理由1~飼い主の老化~

まず最初に思いつくのは、やはり飼い主さんの老化によって問題が生じるということではないでしょうか。
飼い主さんが入院することになったり、施設に入らなければならなくなった時に、猫を一緒に連れていくことはできないでしょう。飼い主さんに何かあったときに、代わりに猫を引き取ってもらえるような人を探しておかなければならないのは、当然だと思います。ただ、愛猫の行き先を決めるのはなかなか難しいことです。例えば、同年代のかたでは、飼い主さん同様に老化による問題があると思います。ほかにも、引っ越しの可能性のあるかたや、これから子供が生まれるなど家族構成が変化するようなかたは、引き受けてもらえなくなる可能性があります。このように、相手のかたも年月とともに状況は変わっていくということを考慮して、お願いしなければなりません。しかし、たとえ行き先が決まっていても、飼い主が変わることが猫にとって大きなストレスになるのです。長年いっしょに生活をして、可愛がってくれた飼い主さんから引き離され、自分のすみかであった家を離れ、見知らぬ場所に移される事で心に傷を負ってしまう猫もいます。もし猫が高齢化していたら、そのストレスはより大きなものになりますし、より新しい環境になじみづらくなっていると思います。できれば同じ飼い主さんにずっとめんどうを見てもらうのが、猫にとって幸せな事なのです。
他にも、飼い主さんの老化による心的・身体的な変化のために、猫の世話が行き届かなくなる心配があります。高齢者特有の孤独傾向、物忘れ、身体機能の低下などのために猫の面倒を十分に見られなくなる可能性が考えられます。例えば、猫のささいな異変に気付いてあげられないことがあるとか、出掛けるのがおっくうで気になる事があっても、動物病院へ行くのを見送ってしまうなどです。

理由2~猫の老化~

当然のことですが、猫も老化します。しかも人よりも早く年をとります。猫は7歳を超えるとシニア猫といわれるようになります。最近は20歳くらいまで生きる猫も増えています。もし65歳の方が猫を飼い始めて20年たったとすると、85歳で20歳の老猫の介護をすることになります。昔は、猫は死期が近づくと姿を消す、などといわれていましたが、今はほとんどの猫が完全室内飼いなので、そのようなことはありません。最期のときまで面倒をみてあげることになります。家族の一員の愛猫を、病気になったからなどと手放せるはずがありません。ケガを負ってしまったり、病気になってしまった場合には介護が必要になります。定期的な動物病院への通院が必要になったとき、猫を連れていくことができるでしょうか。老化による運動機能の低下から、重いものを持つのが大変になったり、自転車や自動車の運転が難しくなると思います。容態によっては、つきっきりの看護が必要になる事もあると思います。自身の年齢が進んだ時に、そのような体力や気力があるでしょうか。猫も生き物ですのでいつまでも元気で、そして自然に死ぬわけではありません。飼い主さんが高齢になった場合、まるで人間の老々介護のような状態になる事もありえるのです。
そして、もし愛猫が天国へ旅立った時に、高齢の飼い主さんが、その喪失感にたえられるかというのも心配になります。

それでも猫が飼いたい!

飼い主さんにもしもの事があったときに、愛猫を引き継いでもらえそうな相手を探すのはなかなか困難です。また、介護・看護を含め最後まで愛猫の面倒を見られるかどうか、判断は難しいと思います。しかし最近では、それでも猫をパートナーにしたい、すでに猫を飼っている、という高齢者のかたを助けてくれる様々な方法があります。例えば、愛猫の引き受けを保証する互助会のような制度や、老猫ホームなどです。
互助会制度というのは、飼い主さんに何かあったときに猫を引き取り、シェルター等の施設で世話をしたり、別の飼い主さんをさがしたりしてくれる制度です。このような制度は、月々積立金を支払ったり、積立金の上限額を一括で支払うことで利用できます。保護猫を引き取りたくても、高齢者不可という条件のある猫の保護団体も、この制度を利用するという条件で、猫を譲渡してもらえるというところもあります。里親になるさいに保証人になってくれるかたが見つからない場合は、このような制度がないか問い合わせてみてもいいと思います。
老猫ホームは、飼い主さんにもしものことがあったときに猫を引き取り、世話をしてくれる施設です。とくに介護が必要なシニア猫を預かることを専門にしている施設ですので、病気を抱えた猫も安心して任せることができます。年間利用料を残りの推定余命年数分支払います。年間利用料はだいたい50万円くらいです。飼い主さんが手放さなければならなくなった若い猫も、面倒を見てくれる施設もあります。その場合は介護のための医療費は掛かりませんが、余命が長いため高額になると思います。ただ、若くて健康面の問題もない猫でしたら、猫のためにも里親募集で新しい飼い主さんが見つかる可能性も高いので、そのような努力をした方がいいと思います。
猫の余命にもよりますが、互助会制度を利用する方が、総額的に低額になる場合が多いようです。

命と向き合う覚悟

ペットを飼い始めるときは、自身が何歳だとしても、命を預かるという責任を負うことになります。
人生には様々なことが起こり、生活は変化していくと思います。また、猫の人生にも様々なことが起こります。病気になってしまったり、事故にあって看護が必要になる事もあると思います。また猫一人一人にそれぞれ性格があります。なかなかなついてくれないとか、こんなにいたずらっ子だとは思わなかったなど、飼い主さんの思い通りにはならないこともあると思います。飼い始めはお互い知らない同士です。猫の個性を尊重して、少しずつお互いに理解していく時間が必要です。
このように、自身や猫の状況が変化したり、思い通りにならないことがあったからといって、命を放棄することはできません。ペットを飼うのは、その猫と一緒に人生を歩んでいくという「覚悟」が必要なことだと思います。

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