猫本来の習性から進化しつつある今どきの猫たちってどんなの?

猫の飼い方・知識

昔から猫については単独行動を好み、気ままで我がまま、自己中心的で…と人間ならどちらかと言えば嫌われそうな性格の動物とされてきました。
それを承知で猫を飼ってみると「あれっ?」と思った人もいると思います。
確かに猫ブームにより猫をペットとして飼う人が増えて時代や背景が変わっても猫は猫。元々の習性がまだまだ十分残っているのも事実ですが、昨今の飼い猫が何やら進化しつつあるという情報もいっぱいあります。
猫好きさんにはとっても気になる今どきの飼い猫の進化論について調べてみました。

本来の猫の特徴や習性

数千年前に猫の元祖といわれるミキアスが誕生し、何年もの時を経て進化・分化し1200年前にネコ科が誕生したといいます。
リビアヤマネコが猫の祖先といわれていますが、そもそも猫が人間の生活圏に招かれたのは狩りの習性のためといっても過言ではありません。
猫の習性は狩りではなく他にも興味深い特徴などもあるのです。
また猫にはある環境や状況になると一定の行動をとるという習性があります。
ここでは本来の猫の持つ習性や特徴をご紹介します。

ゴロゴロと喉を鳴らす

猫が喉をゴロゴロと鳴らしているのを聞いたことがあるという人は多いと思いますが、どのように鳴らしているのかというと様々な説があります。
最近の説としては「咽頭説」で咽頭の筋肉が痙攣し声門を振動させることによって音が出るといわれています。
また鳴らす理由としても複数の理由があるようですが、最有力とされるのは「赤ちゃん返り」とされています。要するに子猫の頃の名残なのですね。

よく毛づくろいする

猫が暇さえあれば毛づくろいをしていますが、その理由としては体毛の掃除をすることによって付いている様々なニオイや汚れを取り除くことで毛の根元の鋭敏な感覚を保っていることや体温調整、皮膚病の予防、血流促進、転位行動と呼ばれる高ぶった気持ちをリラックスさせることなどがあげられます。
毛づくろいには2種類あり歯や舌で行う「オーラル・グルーミング」と後ろ足で行う「スクラッチ・グルーミング」になります。
また自分で行うのを「セルフ・グルーミング」、親しい猫がお互いを毛づくろうのを「アログルーミング」といいます。

縄張り意識がある

猫には必ず縄張り=テリトリーがあります。他の猫が入ってこないようにするためテリトリーに定期的に巡回して自分のニオイをつける(スプレー行為)すなわちマーキングします。
猫の縄張りは野生の猫の場合、獲物や居住を考えた生活圏でもあるのです。
万が一自分のテリトリーに他の猫が入ってきたら物凄い勢いで威嚇し追い出そうとします。

狭くて暗い場所を好む

この理由として猫は狭くて暗い場所には何かいい獲物が潜んでいるのではないかという期待と自分の身を守る安全な場所と思っているようです。

爪を研ぐ

猫は爪を研ぐのが好きというより生理的現象と捉える方がいいかもしれません。
爪とぎの理由は古くなった爪の外層を剥がし鋭利に保つ、肉球にある臭腺からのマーキング、自己顕示、ストレス発散の転位行動などがあげられます。

排泄物に砂をかける

猫がおしっこやうんちをした後、一生懸命に砂をかけて排泄物を隠しています。
この理由は自分のニオイを消すことにより外敵から身を守るという説や自分より強い猫に対する気遣い、病原菌や寄生虫を広げないようにする説などがあげられています。

動くものが好き

これについては正しく狩猟本能によるものですね。猫にとっての獲物はちょこまかと動くものがほとんどです。
猫じゃらしなどはそんな狩りの本能をくすぐる格好のオモチャでしょう。

首の後ろをつまむとおとなしくなる

昔から猫を捕まえるのには首の後ろを掴むとおとなしくなるから捕まえやすいとされてきました。
この理由は母猫が子猫を咥えて移動するときは首の後ろを咥えることから来ています。
子猫は首の後ろを咥えられると声を押し殺し背中を丸めてじっとして母猫の負担を減らします。それは外敵に見つかることなく移動するための鎮静反応という習性なのです。

猫は夜行性

猫の目には「タペタム層」という特殊な層があり僅かな光を増幅させることにより薄暗い中でも物がはっきりと見えるのです。
そのため夜暗いと目が見えない獲物を捕りやすくなりますね。逆に明るい光は意外に弱いのです。
ですから、日中はよく寝ていますよね。夜活動するために体を休めています。

猫集会

公園や空き地などで複数の猫が集まっている光景を目にされた人もいると思います。
猫同士の距離は50~100㎝くらいでただ座っているだけなのですが、目的はお見合いだったり情報交換、新参者の顔見せや序列の確認などとされています。
なんだか人間っぽいですね。
猫は普通はしゃべりませんから無言でただ座っているだけなので人間から見れば薄気味悪く感じる人もいるかもしれませんね。

進化した今どきの飼い猫と本来の猫の比較

最近の猫は本来の猫の持ってる習性と比べると真逆になっていたり名残もなかったりと生きている環境の変化に伴い、何かと進化しているようです。
ここではそんな最近の猫たちと猫本来の姿との比較についてご紹介します。

足音を消して行動➡足音を立てる

本来の猫は足音を立てることで自分の居場所や存在を獲物や外敵に分かってしまうために足音を立てることはしません。足音を立てることが死に直結するかもしれないからです。
しかし、今どきの猫たちは飛び降りるとバン!バタバタ、カシャカシャと平気で足音を立てます。これは自分の居場所が他に知れても支障がないからという緩~い環境のせいですね。

眠りが浅い➡ぐっすり眠る

本来の猫、特に野生の猫は自分の身を守るために熟睡することはありません。
ぐっすり寝てしまったら外敵から襲われて命を落としかねないからです。少しの音や何かにそっと触れられるだけですぐに起きて行動します。
しかし、今どきの猫は安心できる環境下にいることからぐっすり眠ることがあります。
ただやはり猫。浅い眠り80%深い眠り20%を交互に繰り返しているとされています。個体別にもよりますが安心度が高いと深い眠りのパーセンテージが上がるようです。

目をそらす➡まっすぐ見つめる

猫は目が合うとそらすのが当たり前でした。これは大型のネコ科の動物でも言えることですが、目を合せることは敵意があるという意味に捉えられるからです。保身術のひとつだったのですね。
しかし今どきの猫はじっと飼い主さんを見つめてきます。飼い主さんも愛猫に見つめられたら可愛くて構ったりおやつやごはんをあげたりと猫にとってはいいコトづくめですよね。猫は
覚えていて繰り返すのです。

お腹は見せない➡お腹を見せてくつろぐ

本来の猫はお腹を見せて寝転ぶことはしません。何故ならお腹には内臓があり猫にとって大事な急所にあたるため体を丸めて守っています。
しかし、今どきの猫は警戒することもなく安心な環境であるため平気でゴロ~ンとお腹を見せてくつろいでいます。

自分以外の動物にはくっ付かない➡人にくっ付いてくる

本来の猫は単独行動をしているため他の猫とくっ付くようなことはしません。
しかし今どきの猫は甘えて飼い主さんにくっ付いたり体や膝の上に乗っかったりします。

濡れるのが苦手➡水が平気

本来、砂漠地帯が発祥とされる猫は水が苦手としたものです。自分で毛づくろいして体をキレイにしているのでお風呂に入ることもありません。
しかし、最近は飼い主さんに子猫のうちからお風呂でキレイに体を洗ってもらったりすることから水が平気という猫が多いようです。
ベンガル猫のように猫種よっても水が好きな猫もいます。

知らないものには近づかない➡謎の置物があっても平気

本来の猫は単独行動で危険から自分自身を守っていることもあり知らないものには極力近づかないようにしています。どうしても気になるときは警戒しながら臭いを嗅ぎながら前足でつつくなどして確認します。
しかし、今どきの猫は家の中は安全だと思っているせいか見慣れないものがあってもあまり気にしないといいます。危険なものはないだろうと警戒心ゼロなのですね。

夜行性➡夜に寝て昼に行動

猫本来は夜行性であり「薄明薄暮性動物」といわれています。薄明薄暮性とは夕方と明け方に活発になるという性質で昼間は体力温存もしくは回復のためにじっと寝ています。そして夕方から夜にかけて狩りに出るのです。
しかし、今どきの猫たちは飼い主さんから十分なごはんをもらい、また飼い主さんと同じような時間帯での生活パターンになっているため昼間は起きていて夜に寝るのです。

習性として無い➡ちょうだいとオテをする

今どきの飼い猫は犬のように欲しいものやしてほしいことがあると前足を出してオテをすることがあります。オテをするとおやつや食べ物をもらった体験を覚えていることからくるものです。
本来の猫は単独で生きているので自分の要求は自分で満たすものという習性からオテという習性はありません。

まとめ

猫ブームであり、行き場を失った猫の保護活動などにより一段と猫が私たち人間の生活に浸透してきています。人間と近くなったことで猫本来の習性が少しの名残を残しているものの真逆になってきているものもありますね。
愛玩動物としては飼いやすくますます愛されるようになってきているのですが、猫本来の習性を無理に無くすのではなく基本的な習性はなるべく残る環境になるように気遣ってあげることが猫のストレス軽減にもなるのではないでしょうか。
猫好きさんは本来の猫を見てたまらなく好きになったのではないかと思います。




スポンサードリンク