徹底解説!超一流の母性本能を持った母猫の出産と子育てについて

女にとって妊娠・出産・子育ては偉業であり一大ドラマでもあります。
それは猫でも同じです。猫は人間と違い、妊娠中も出産も子育てもすべてひとりでやり遂げるという動物です。
もちろん飼い猫の場合は飼い主さんから手厚いサポートをしてもらいながらですが、野良猫の場合はどの母猫も肝が据わっていなければ成し遂げることができないでしょう。
また猫の母性本能は哺乳類の中でもすこぶる強いとされています。
そんな猫の妊娠から出産、子育てまでを徹底的に調べてみました。

母猫の妊娠・出産について

最近は地域猫や飼い猫において、繁殖を止めることや病気にかかるリスクを避けるためにも避妊・去勢手術されることが多くなったことで直接妊娠した猫や出産に触れ合ったり関わったりすることが難しくなりました。
とはいえ、中には「うちの愛猫の子猫が欲しい」と言う方もいます。
しかし意外と猫の妊娠や出産について詳しく知っているという方は少ないのではないでしょうか。
ここでは猫の妊娠と出産についてご紹介します。

猫の妊娠とは

猫の発情期は年に2回来ます。冬から春にかけてと春から夏にかけての間です。
猫は交尾排卵といって交尾をすることによって排卵が起きて高確率で妊娠します。そして妊娠の期間は60~68日で妊娠してからおよそ20日くらいすると食欲が無くなり吐くなどの「つわり」の症状が出てきます。
妊娠してから30日くらいすると乳首がピンク色に変わってきて乳房も膨らみ、お腹も膨らみ始めます。45日くらいになると食欲が回復し体重が増え始め、50日にもなると胎動を感じることが出来ます。
分娩の2~3日くらい前になると母乳が出てくるようになり出産する1日前になると一気に食欲が落ちます。体も出産の準備に入るのですね。
妊娠した猫はプロゲステロンという妊娠特有のホルモンが分泌されるため精神が安定し、母性本能がわいてくるのでいつもより穏やかでリラックスしてほとんどケンカをしなくなるようです。
また猫には「想像妊娠」や「擬妊娠」が起こる場合があります。
想像妊娠は交尾をしたにもかかわらず受精しなかったため妊娠はしていないのですが、まるで妊娠したかのようにお腹が膨らみ、陣痛まで起こることもあります。
擬妊娠は交尾をしていないのにホルモンのバランスが崩れることによって妊娠の兆候が表れることをいいます。

異期複妊娠

人間では考えにくいことですが、猫は妊娠していても他のオス猫と交尾をして受胎することがあります。
この場合1匹の母猫のお腹の中で違う父猫の子どもを育てるということになります。ですから、母猫が出産したときに毛色がバラバラですべて父猫が違うというケースもあるようです。

母猫の出産

母猫は出産が近づくと警戒心が強くなりそわそわしながら攻撃的になります。落ち着かず床や巣を掘り返したり乳房や陰部を舐めたり排便するようなポーズを取始めたらいよいよ出産です。
出産に適した場所を求める行動に出る猫もいます。
なるべく人目に付かない暗い場所を予め作っておいてあげることをオススメします。
出産が始まったら猫は落ち着いて産みたいと思っていることや人が介入すると産後、育児放棄することもあります。
いくら飼い主さんといえどもあまり見に行かないでそっとしてあげてください。
母猫は1度に平均1~9匹の子猫を産みます。
陣痛は12秒~90分ほど続き、その間15~30分おきに子猫が順に生まれてきます。
母猫は生まれてきた子猫の鼻を舐めて呼吸させへその緒を噛みきるのです。
最期に胎盤が出てきますが、母猫は栄養補給のために食べます。
すべて無事に出産できるといいのですが、流産もあれば早産の場合は死産することもあります。

産後の母猫がかかりやすい病気

出産後の母猫はとても神経質になっていますのでなるべくそっとしてあげなければならないのですが、この時期の母猫がかかりやすい病気があります。

  • 産褥熱(さんじょくねつ)
    出産時に子宮や膣内にできた傷により細菌感染したため高熱が出ます。元気が無く子猫の世話をしないような状態なら病院で診てもらったほうがいいです。
  • 子宮内膜炎
    産後の子宮収縮がされず細菌に感染したため発熱、お腹を痛がる、膣から不正出血や膿が出るといった症状が出ます。
  • 子癇(しかん)
    妊娠や授乳で体のカルシウムが不足し痙攣、震え、発熱が起きる。
  • 子宮蓄膿症
    子宮内に膿が溜まっており重症化すると子宮が腫れます。お腹が膨れている、陰部から膿が出ていたり水を大量に飲みたがるようになります。
  • 乳腺炎
    乳房に残っている母乳が炎症を起こさせる症状です。乳房のしこりや腫れがあったり発熱、もしくは授乳をしなくなったら要注意です。

愛情に満ちた母猫の子育て

猫の母親の母性愛は哺乳類の中でも群を抜いて強いとされています。
無事に出産を終えてホッとする間もなくひとりで子育てを頑張ります。
ここでは愛情たっぷりの母猫の子育てについてご紹介したいと思います。

母猫は子猫から離れない

出産後数日間、母猫は食事を摂る以外子猫のそばを離れることはほとんどしません。
生まれてきた子猫は体温調節が出来ず母猫のおっぱいしか飲みませんし子猫の排泄には母猫の舐めて世話をすることが不可欠なため離れることが出来ないのです。
また母猫は産後10日くらいの間は免疫力を高める抗体が豊富な初乳が出ます。この初乳である母乳を子猫に飲ませることで子猫の免疫力を高め、病気に強くなるのです。

子猫を舐める

母猫が子猫を舐める理由として知られているのは排泄を促すとか、キレイにするためです。しかし、理由は他にもあるのです。
母猫に舐められた子猫は心拍や血圧が安定し腸の動きが良くなるのです。
また母猫は子猫を舐めることで我が子と認識するそうなのです。ですから、母猫が子猫を舐める前に引き離すと母猫は我が子を認識出来ないといいます。

子猫を連れて何度も引っ越す

母猫が子猫を咥えて移動する引っ越しの理由については「出産時のニオイ」「温度」「明るさ」「スペース」「狩り場の近く」があげられます。
まず「ニオイ」とは出産時の血や子猫のニオイのことです。母猫がキレイに舐めますが、どうしてもニオイが残っているので外敵に嗅ぎつけられないようにするために引っ越すのです。
「温度」というのは子猫にとって暑すぎず寒すぎずという場所を確保するためです。子猫は生後2、3週間もすれば体温調節ができますが、生まれたばかりの子猫は体温調節が出来ないからです。
「明るさ」については子育てには外敵から身を守るためには薄暗い場所が落ち着くようです。
「スペース」というのは子猫の成長とともに世話をしやすいスペースが必要となります。
そして「狩場の近く」というのは子猫の離乳が始まると狩りをしている場所の近くで引っ越します。
この引っ越しですが、飼い猫でもする猫がいます。でも理由は出産した場所での育児をするにあたり同居猫や飼い主さんの干渉が気になって仕方がないためといわれています。
母猫は子育て中は子猫を守ることに必死なため攻撃的にもなりますね。

子猫に親離れさせる時期

出産してから3ヶ月から半年くらいの間に母猫は子猫を親離れさせます。
各々、個体差はありますが、母猫が子猫に対し「大人として大丈夫」と認めたときにいきなり子猫に対し威嚇し追い払おうとします。
そんなときの子猫はショックを受けてちょっと可哀想な表情になりますが、巣立つための儀式ですから仕方ないですね。
しかし、母猫の子どもへの愛情は奥が深いですね。脱帽させられます。

自分の子以外でも育てる

母猫はとても母性愛が強いこともあり産後1週間くらいの間であれば他の動物の赤ちゃんでも育てるようです。

子育てダークな部分

猫は母性本能が優れているとはいうものの「え?」と驚くような真逆の行動をとることがあります。
厳しい動物の世界では仕方がないことなのです。
そんなダークな事象をご紹介します。

なぜ育児放棄する?

母猫が育児放棄するには様々な原因があります。

  1. 初めての出産のため育児方法がわからない。
  2. 生まれた子猫が小さすぎると育たない可能性がある。
  3. 人間が育児に手をだすと自分が育てる必要がない。
  4. 人間のニオイがついてしまい嫌がる。

内容を見ると解決策として1と2については人間が育てることになります。
そして3と4は人間は手を出さずに少し離れたところで見守ることを徹底するほかありませんね。基本、子育ては母猫に任せましょう。

なぜ子猫を食べるの?

衝撃的な行動ですが、子猫の死因の中での10%を占めているのでそんなに珍しいケースではなさそうです。
母猫が子猫を食べる原因は…

  • 子猫の体が小さい、もしくは弱いから成長が難しいと判断した。
  • 生まれた子猫の数が多くて育てることが難しい、口減らし。
  • 母猫が極度の栄養失調のため生きることが難しい。
  • 子猫を育てている巣に外敵が来たとき。
  • 育児中に人間が関わって子猫に人間のニオイがついてしまった。
  • 子育て中のメス猫が子猫の父親以外のオス猫に発情する場合

以上ですが、改めて猫の世界の厳しさを感じますね。

まとめ

母猫の子猫に対する愛情は計り知れないほどの深さがあります。涙が出るほど素晴らしいと思います。
人間も見習わなければならない人がいると思うほどです。
こんなに大変な思いをして子猫を産んで育てる母猫の気持ちを考えると行き場がないというだけで殺処分施設へ持ち込む人間やまるでモノのように虐待する輩がいるなどは非常に腹立たしいです。
改めて命の尊さを教えられたような気がします。
現在、我が家にいる3匹のメス猫は全員避妊手術をしているので子猫を産むことはありませんが、今後母猫を飼うようなことがあれば出来る限りのサポートをしたいと考えています。
出産・子育てに全力投球している母猫を人間として環境を整え、守ってあげたいですね。
これから「我が家でも愛猫の子が欲しくて出産をさせたい」とお考えの方の参考にしていただければと思います。

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