飼い猫がいきなり粗相をし始めると、原因が分からずに困ってしまいますよね。
猫の粗相は一般的なものと発情期によく見られるスプレー行為とでは、仕方も意味も違ってきます。
そこで今回は、一般的な粗相とスプレー行為での粗相を見分ける方法や対策法などを詳しくご説明していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
飼い猫の粗相には理由がある!
トイレ以外の場所でおしっこをする飼い猫に、イライラした気持ちを抱えてしまう飼い主さんも多いかと思います。
しかし、猫が粗相をするのには、必ずなにかしらの理由があります。
猫を初めて飼う方の中には「私への嫌がらせで粗相をしているの?」と、つい思ってしまう人もいるかと思いますが、それは違います。
粗相は決して飼い主さんへの嫌がらせではなく、自分の状態を飼い主さんに分かってほしいという猫の訴えだと言えるでしょう。
猫の粗相には身体的な原因やメンタル的な理由が隠されているため、それを見つけなければやめさせることは難しいといえます。
そのためにはまず原因が違う、一般的な粗相とスプレー行為を見極められるようになりましょう。
一般的な粗相とは違う「スプレー行為」とは?
スプレー行為とは、猫が自分のにおいを残してなわばりを主張する行動のことです。
特に発情中の猫はスプレー行為でおしっこを自分のなわばり内のものにかけて、メス猫やオス猫に自分の存在をアピールします。
猫のおしっこには自分の年齢や体格・喧嘩の強さなどの情報がつまっているので、他の猫に自分を示すことができるのです。
スプレー行為で排出されるおしっこは、普通のおしっこよりもにおいが強いのが特徴。
掃除を行ってもなかなか取れないので、飼い主さんの悩みの種になってしまうこともあります。
そんなスプレー行為はメス猫もまれにすることがありますが、オス猫よりは少ないといえるでしょう。
【見分け方】一般的な粗相の場合
スプレー行為がどんなものかが分かったところで、これから具体的に一般的な粗相とスプレー行為で粗相の違いをご説明していきたいと思います。
1.床に向けておしっこをする
一般的な粗相の場合は、座っておしっこをする猫がほとんどです。
そのため、粗相は床などの低い場所にされます。
においも多少はしますが、飼い主さんが鼻をつまんで気にしなければならないほどではありません。
2.毛布などに行われることが多い
一般的な粗相は、毛布などに行われることも少なくありません。
特に羽毛布団などは要注意。
座ったときの感触が気持ちよかったり、鳥のにおいが気になったりすると粗相をしてしまう子もいます。
布団への粗相は対処が大変だからこそ、粗相が癖になってしまっている場合はあらかじめ布団に防水カバーなどをかけておくのもおすすめです。
3.隠す仕草を見せる
猫が粗相後に猫砂を掻くような仕草を見せたときは、一般的な粗相である場合が多いとされています。
猫の祖先は狩りをして暮らしてきた動物です。
そのため、用を足した後に自分のにおいが残っていると「敵に存在が見つかってしまう!」と思い、においを隠そうとします。
猫砂を掻いて自分の排泄物を隠すのは、こんな風に自分の存在を隠したいという意思の表れなのです。
しかし、スプレー行為をするときは反対で、自分の存在をアピールすることが目的。
だからこそ、自分の排泄物を隠そうとしない子が多いのです。
【見分け方】スプレー行為の場合
1.しっぽをピンと立てる
スプレー行為か一般的な粗相かを見分けたいときには、猫の尻尾にも注目してみましょう。
スプレー行為をしているときのしっぽは、ピンと立てられていることが多いのです
中には尻尾を小刻みにブルブル震わせる子もいます。
一般的な粗相の場合は、尻尾が濡れないように浮かせはするものの、ピンと立てることはあまりありません。
ですから、飼い猫の尻尾がピンと立てられている粗相は、スプレー行為である可能性が高いのです。
2.高い場所におしっこをする
スプレー行為の粗相は、一般的な粗相のときよりも高めの場所にされるというのも特徴です。
一般的な粗相の場合は床に向かっておしっこをするということは、先ほどご説明しましたよね。
しかし、スプレー行為の場合は壁や家具にされることが多くなります。
自分の強さを示すための行動でもあるからこそ、より高い場所にしようとする子も少なくありません。
猫の世界では高い場所にいるもののほうが強いと認識されます。
スプレー行為で猫が高さを求めるもの、こうした習性が関係しているのかもしれませんね。
3.腐敗臭のようなにおいがする
スプレー行為を判断するための一番簡単な方法は、おしっこのにおいをチェックしてみることです。
猫のおしっこは臭いといわれていますが、普通の粗相であれば日常生活の中で、そんなに気になることはありません。
対して、スプレー行為のおしっこは独特の腐敗臭がするため、「早く処理したい」と無意識に思う飼い主さんも多いはずです。
ですから、おしっこなのにうんちのような強いにおいを感じた時は、スプレー行為での粗相を疑いましょう。
スプレー行為への対処法とは?
1.避妊・去勢手術を行う
スプレー行為をやめさせるのに最も効果的な方法は、避妊・去勢手術によって性欲をなくすことです。
発情期中の猫の性欲は、人間では考えられないほどの強さだといわれています。
そのため、交尾ができない状況は猫に強いストレスを与えてしまうのです。
飼い主さんの中には「性欲をなくすなんてかわいそう」と思う方もいるかもしれませんが、できない状況のままモヤモヤとする方が、猫にとっても辛いものです。
避妊・去勢手術は望まない妊娠を避けるためにも、必ず受けさせるようにしましょう。
ただし、スプレー行為を一度してしまうと癖になり、手術をしてもやめさせられない場合があるため、100%の効果がある対処法だとはいえません。
そのならないためにも、猫がスプレー行為を覚える前にしっかり手術を受けさせるようにしましょう。
2.環境の変化に慣れさせる
スプレー行為をしてしまう猫の中には、環境の変化を不安に思っている子もいます。
例えば、引っ越しなどで自分が暮らす環境がガラッと変化したときは、なわばりがなくなった状態なので、猫も不安になるのです。
他にも、大好きだった家族の不在が猫にとってストレスとなり、スプレー行為で不安を解消しようとすることもあります。
こうした場合は、環境の変化に慣れさせることが大切です。
猫がゆっくりとくつろげる場所を用意してあげたり、家族で猫を今以上に可愛がってあげたりしましょう。
不安な気持ちが解消されれば、スプレー行為による粗相も減っていくはずです。
3.スキンシップを積極的にとろう!
猫の中には飼い主さんに構ってもらえない寂しさからスプレー行為の粗相をすることもあります。
特に甘えん坊な猫の場合は留守番の時間が長いと、寂しい気持ちを一人で抱え込んでしまうのです。
そんな猫の寂しさを解消するためには、積極的なスキンシップを飼い主さんが心がけていきましょう。
猫が近寄ってこないから放置するのではなく、自分から猫に近寄っていって距離を詰めてみるのもおすすめです。
中でもツンデレ気質な子や気持ちを我慢してしまう子は、なかなか自分から近づけないので、飼い猫の気持ちを飼い主さんが汲み取ってあげましょう。
4.トイレを変えてみよう
スプレー行為の粗相は一般的な粗相と同じように、トイレに対していい印象が持てていないときにも行われます。
中でも多いのが、トイレの形が気に入らないということ。
ドーム型のトイレは猫砂は飛び散りにくいものですが、猫からしてみれば真っ暗で怖いと感じてられてしまいます。
さらに、トイレ中に怖い思いをしてトラウマを抱えてしまうことで、スプレー行為をするようになることも。
こうした場合はトイレの形や置き場所などを一度変えてみるのがおすすめです。
猫の中でトイレに関するイヤな印象をリセットすることができれば、スプレー行為の回数も減らしていけるでしょう。
5.同居猫との関係を見直そう
スプレー行為は自分の存在をアピールするための行動だからこそ、同居猫との関係がスムーズにいっていないときにも行われます。
特にオス同士の場合は去勢手術をしないと、なわばり争いからスプレー行為をしてしまうことも少なくありません。
猫が不仲な場合は、飼い猫同士の関係をもう一度築き直していくことが大切です。
「一緒にいるといいことが起きる」ということを猫に覚えさせるのも効果的なので、一緒にいるときにおやつをあげるのもよいでしょう。
しかし、猫にも相性があるので、どれだけ飼い主さんが努力しても関係がうまくいかないこともあるかもしれません。
不仲な猫同士を無理やり同じ部屋で飼っていると、猫に大きなストレスが溜まります。
どうしても仲良くなれないと判断したときは、1階と2階で猫同士の部屋を別々にするなどして住み分けを検討していきましょう。
6.においのもとをしっかりと取り除こう
粗相を再発させないためには、おしっこのにおいをしっかりと取り除くことも大切です。
猫のおしっこ臭をなくすためには、クエン酸で掃除をするのがおすすめ。
クエン酸はアルカリ性なので、酸性な猫のおしっこ臭を軽減してくれます。
また家庭にある酢を水と1:2の割合で混ぜるのも◎
即席でおしっこ臭が取れる消臭剤になってくれます。
反対に、アンモニア系の漂白剤はスプレー行為を誘う原因になるので、使用を控えるのもポイントです。
治らないときは怒らない対策法を!
さまざまな対策法を試しても猫のスプレー行為が治らないときは、スプレー行為とうまく付き合っていくことで怒らない対策法をしていきましょう。
例えば、猫のスプレー行為はある程度場所が決まっているかと思いますので、いつもされる場所にペットシーツを張り付けるのもおすすめ。
ペットシーツは画鋲などを使って壁に止めておきましょう。
また、壁をガードしたいときは猫が粗相しやすいところにだけ板を取り付けるのもありです。
壁や家具などは洗えないからこそ、「させない工夫」ではなく、「されてもいい配慮」を心がけていきましょう。
粗相の種類を見極めて原因を探ろう!
スプレー行為かそうではないかを見極めるだけでも、猫の粗相対策は具体的になっていくはずです。
スプレー行為は発情によって引き起こされるものだと思っている方もいるかと思いますが、メンタル的な原因によっても引き起こされます。
ぜひこれを参考にスプレー行為を繰り返してしまう飼い猫の心理と向き合ってみてくださいね。