ギネス記録公認も!ふたつの顔を持つ「ヤヌス猫」ってどんな猫?

ヤヌス猫

「ヤヌス猫」は、人間でいう「結合性双生児」のような猫のことです。
一般的な猫とは違い、ふたつの顔を持ちわせることから短命だといわれており、安楽死させられてしまうことも少なくありません。
今回は、そんな「ヤヌス猫」について詳しくご紹介いたしますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

どうして「ヤヌス猫」と呼ばれているの?


ヤヌス猫の名前はローマ神話に登場する「ヤヌス」という神がもとになっています。
ヤヌスは、前後にふたつの顔を合わせ持っているのが特徴です。

このように、ふたつの顔を持っているという共通点があったため、英動物学者のカール・シューカー博士によって「ヤヌス猫」と名付けられました。

また、猫だけでなく、ふたつの顔を持つ動物はヤヌスになんで、「ヤヌス○○」と呼ばれるようです。

病気の原因は不明


ヤヌス猫のような症状は「顔面重複奇形」や「二顔体」という病名がつけられています。

顔面重複奇形は珍しい先天疾患だといわれており、ふたつの顔を合わせ持って生まれてくる理由は突然変異によるものだとされていますが、まだ詳しく解明はされていません。

ヤヌス猫は長生きできるの?


珍しい病気を抱えているヤヌス猫は、生まれてから数日で亡くなってしまうことが多いため、極めて短命な猫だとされています。
産まれた子猫がヤヌス猫の場合は、母猫が育児放棄をしてしまうこともあるのです。

また、ヤヌス猫の中には口蓋裂といった先天性疾患を併せ持っていることも多いため、母猫のミルクをうまく飲むことができない子もいます。
そのため、一般的な猫のように栄養を十分に吸収できず、命を落としてしまうのです。

そして、ミルクを飲むことができても、飲んだミルクが肺に入り、肺炎を引き起こしてしまうケースもあるため、短命になってしまうそうです。
こうした特徴があるので、自然界でヤヌス猫を見かける機会はほぼないといえるでしょう。

飼い猫の場合でも、将来を悲観した飼い主によって、安楽死させられてしまうことも少なくありません。
中には、特徴的な見た目を怖がり、産まれてすぐ、動物愛護センターなどに連れて行く人もいるそうです。

しかし、すべてのヤヌス猫が短命かといわれると、そうではありません。
実際、ギネスには一般的な猫と変わらないほど長生きしたヤヌス猫が公認されています。

ギネス認定されたヤヌス猫は12歳!

ギネスに「世界一長寿のヤヌス猫」認定されたのが、アメリカのマサチューセッツ州ウースターに住む「フランク&ルーイ」(オス猫)です。

ヤヌス猫

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グレー×ホワイトの長毛が美しいフランク(向かって左側)とルーイ(向かって右側)は2つの鼻と口、3つの目を持っています、
しかし、顔の真ん中にある目は見えておらず、まばたきをすることもできないのだそう。

また、フランクとルーイはひとつの頭を共有しているため、結合したふたつの顔は調和して動いていたようです。
しかし、二匹はそれぞれが脳を持っているようで、異なる表情や反応を見せることもありました。

そんな「フランク」と「ルーイ」はもともと地元のブリーダーが「安楽死させてやってほしい」と、タフツ大学獣医学部クリニックに持ち込こんだ猫でした。
持ち込まれたときフランクとルーイは生後わずか1日で、大人の親指ほどの大きさしかなかったそうです。

この事態に遭遇したのが、動物ナースとしてクリニックで勤務していたマーティーさん。
ヤヌス猫は短命であるといわれていたからこそ、マーティーさんは「安楽死させるくらいなら…」と考え、子猫を引き取ることにしました。

その際、獣医師からは12日以上生きるのは難しいといわれていましたが、お腹に差したチューブから子猫用のフードを2時間おきに与えたりと、毎日必死に栄養を補給させたそうです。

そして、どちらの顔もしっかりと主張していることから、フランクとルーイという2匹分の名前もつけられました。

こうしたマーティーさんの努力もあり、子猫はたくましく、愛情豊かに成長。


フランクとルーイは犬のように散歩をするのが好きだったため、リードをつけて外の世界に触れ合せることも多かったようです。

そして、ルフランクとルーイには、片方だけが食事を摂るという特徴もありました。
食事は食道と繋がっているフランクが摂っており、ルーイはその間、じっと待っていたのだそう。
顔がふたつあっても、2匹分の食事が必要なわけではなかったようです。

そんなフランクとルーイを、シューカ博士は2012年版のギネス世界記録に申請。


当時12歳だったフランクとルーイは、「世界一長寿のヤヌス猫」として正式に公認されました。

しかし、2014年にフランクとルーイは癌を発症。
癌は完治が難しい病気であることや、苦しむことが予想されたため、マーティーさんは安楽死を選択しました。

とはいえ、15歳までニャン生を楽しめたフランクとルーイは多くの人々から愛された奇跡の猫だといえるでしょう。

南アフリカではすくすくと成長中のヤヌス猫も存在!

短命だと言われながらも、必死に生きようとしているヤヌス猫は南アフリカにもいるよう。
南アフリカでは昨年の12月12日にふたつの顔を持つメスの子猫が産まれました。

「Bettie Bee」と名付けられた子猫はフランクやルーイとおなじように、3つの目や2つの鼻と口を持っています。
そのため、Bettie Beeが誕生したとき、飼い主は驚愕し、地元の動物救護団体へ連絡をしたそう。

連絡を受けた動物救護団体のスタッフによって病院へ連れて行かれたBettie Beeは、安楽死させたほうがよいと判断されました。
しかし、Bettie Beeの生命力を見た動物保護団体のスタッフは安楽死を拒否し、命を紡ごうと決意したのです。

Bettie Beeはフランクやルーイとは違い、ふたつの食道は両方胃に繋がっているそう。
口にも異常が見られないため、ふたつの口からチューブを通し、ミルクを摂取しています。

現在はスタッフの家で、たくさんの愛情を受けながら、一般的な猫と同じようにすくすくと育っているそう。
Bettie Beeの様子はyoutubeやフェイスブック上で公開され、大きな反響を呼んでいます。
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もしもヤヌス猫を見かけたらどうすればいい?

猫の爪

https://pixabay.com

ヤヌス猫のニュースは、海外で話題になることが多いものです。
しかし、猫ブームにより悪徳ブリーダーが増えてきている日本でも、ヤヌス猫が生まれる可能性があるのではないでしょうか。

ヤヌス猫のような先天性疾患は原因がはっきりと判明していません。
しかし、近親相姦や劣悪な環境での交配も、原因のひとつだと思えます。
だからこそ、猫ブームにより、猫のブリーディングが盛んになってきている近年は、日本でもヤヌス猫の受け入れ方を考えていく必要があるのではないでしょうか。

日本はアメリカやヨーロッパのような動物先進国ではありません。
そのため、ヤヌス猫を保護しようとしても、対応してくれる病院が限られてくるでしょう。
こうしたときにぜひとも頼ってほしいのが、猫専門の動物病院です。

猫だけを診療している動物病院の獣医師は、いわば猫のエキスパート。
豊富な知識も持ち合わせています。
また、獣医師の中には海外でしっかりと研修を積んで、開業されている方も少なくありません。

海外で得た豊富な知識や最先端の治療法を取り入れることができれば、フランクとルーイのように、命を紡ぐことができる可能性があるのではないでしょうか。

そして、奇形があるからといってすぐに安楽死という選択法を選ばないことも大切です。
人間の世界とは違い、動物界ではハンディキャップを抱えるものは安楽死させられることも多いでしょう。
だからこそ、安楽死という選択を選ぶ前に、目の前の命を救える方法は本当にないのかということを、もう一度考えてみましょう。

セカンドオピニオンを検討してみたり、フランクやルーイに関する記事をたくさん読んでみたりするのもおすすめです。
まずは、「自分にできることは本当に何もないのか」ということを、改めて考えてみましょう。

ヤヌス猫は閲覧注意な存在じゃない


ヤヌス猫は特徴的な見た目から、写真を紹介する際にネット上では閲覧注意などの警告がされることも少なくありません。
しかし、彼らは見世物でもグロテスクな存在でもなく、純粋に命を全うしようとしている生き物なのです。

現に、フランクやルーイと触れ合った人々は最初こそ驚いた表情を見せたものの、愛情深い彼らの性格に親しみや愛くるしさを感じるようになったとも記されています。
ヤヌス猫も一般的な猫も、心を持った1匹の猫だということに変わりはありません。

これを機に、ヤヌス猫を興味本位ではなく、純粋な愛情で見つめてくれる人が1人でも多く増えることを祈っています。

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