譲ってもらった子猫や保護した子猫が下痢をしていると、下痢を止めたくなってしまう飼い主さんも多いかと思います。
しかし、安易に下痢止めを処方されてしまうと、時にはとても悲しい結果になってしまうことも少なくありません。
今回は、間違った治療法で命を落とした愛猫の体験談をもとに、子猫の下痢への正しい対処法をご説明したいと思います*
子猫が下痢になってしまう原因とは?
1.新しい環境でのストレスを感じている
子猫をおうちに迎えた途端に、下痢をしてしまったときは新しいおうちに慣れられずにストレスを感じている可能性もあります。この場合は、だんだんとおうちで過ごす日が長くなるにつれて便も固まっていき、食欲も元通りに戻る場合がほとんどなので、あまり干渉せず、自由にさせてあげることも大切です。
お腹の中に寄生虫がいる
元野良猫だった場合は、お外の厳しい環境の中で昆虫や両生類などを食べて生きていることがほとんどです。
だからこそ、口にした獲物に寄生虫がいると、猫自身の体中にも寄生虫が住み着いてしまいます。
こうなった場合は、病院で虫下し薬を処方してもらうことが大切です。
人の食べ物や異物を食べてしまった
猫は人とは違う体の構をしているので、人間の食べ物を食べてしまった場合も下痢になってしまうことがあります。
また、子猫によくあるのがひもなどの異物を飲み込んでしまって、下痢になってしまうケース。
好奇心旺盛な時期だからこそ、飼い主さんの留守中には危険なものを口にしないよう、あらかじめ引き出しの中にしまうなどの対策をとっておきましょう。
実体験を元に発覚した原因と対処法とは?
そんな下痢の症状がなかなか治らなかったのが、保護団体さんから譲っていただいたチャトラのオス猫、レオでした。
当時、まだ生後2ヶ月ほどだったレオは我が家に来てから下痢が始まってしまい、近所の獣医さんに言われるままの対応をしていたら、わずか1週間ほどで命を落としてしまいました。
今回は、そんな悔しい経験をもとに、子猫の下痢への正しい対処法をご説明したいと思います。
ただし、あくまでうちの子猫の場合ですので必ず改善に向かうとは言いきれませんが、参考にしていただけると幸いです。
お迎えした日から下痢が見られる…
私の家には他にも現在2歳になるマンチカンのジジがいたため、お迎えした日は、ケージの中に入れて環境に慣れさせていました。
我が家に来てからカレーのようなドロっとした下痢が見られたので保護主さんに確認すると、保護主さん家でもたまに軟便をすることがあったようですが、カレーのようにドロっとした便は珍しいとのことでした。
その日はレオも元気があり、ケージを登ったり、鳴き喚いたりと男の子らしいワンパクっぷりを発揮。
さらに、食欲もあり、離乳食もガツガツと食べてくれました。
しかし、あまりにも柔らかすぎる下痢が気になったので、翌日病院へ連れて行こうと決意したのです。
病院で猫風邪と診断
翌日、昨日と同じように離乳食をあげようとすると、まったくごはんを口にしませんでした。
お水やミルクを与えても飲んでくれず、ケージに上ろうともしないので急いで病院へ連れて行き、便を採取してもらって寄生虫の検査。
検査の結果、便の中に寄生虫や寄生虫の卵などは見られませんでしたが、鼻水などが少しでていたので、猫風邪にかかっている可能性があるとのこと。
その日は、少し脱水症状もあったので、ブドウ糖と抗生剤の点滴だけしてもらって帰宅しました。
下痢が改善されず、食欲不振もひどくなる…
点滴をしてもらった翌日も、レオの体調は良くならずに相変わらずカレーのようなドロっとした下痢が続いていました。
食欲も前日と同じようにまったくなく、自分からごはんを食べに行こうとしなかったので、シリンジを使って口の中にご飯を無理やり入れる「強制給餌」という方法を取りました。
その際は、少しでも食欲がわくように、においが強いウェットフードをチョイス。
猫がご飯を口にしないときは、放っておけばいつか食べるだろうと思われる方も多いかもしれませんが、子猫の場合は3日ご飯を口にしないと命の危険があるため、安易な考えは禁物なのです。
そのため、与えるウェットフードもこだわって、カルカンは他のウェットフードよりも油分が多いという話を聞いたことがあったので、ねこ元気やモンプチなどを与えるようにしていました。
しかし、強制給餌をしても口にいれたウェットフードを吐きだしてしまうので、あまり食べさせることができなかった状況を危険だと思い、「なにかあったら連絡して」と言いながら譲ってくださった保護主さんに現状を報告。
すると、ヒルズから発売されている「a/d缶」なら、他のウェットフードよりもにおいが強く、他のウェットフードよりもさらにペースト状になっているので食べやすいということを教えていただいたので、すぐにペットペットショップで購入し、試してみることにしました。
「a/d缶」で食欲が少し改善!
その後、早速、購入した「a/d缶」を与えると、本当にウェットフードよりも食いつきがよく、缶の1/4程度を食べてくれました。ただし、まだ自ら進んで食べるということはなく、私が強制給餌をしてあげると、吐き出さずに食べてくれるといった様子でした。
ちなみに、a/d缶はペーストが細かいのでシリンジでもあげやすく、翌日の朝や晩の強制給餌がとても楽になりました。
下痢が止まらないため、再受診…
強制給餌を行っても、レオの下痢は相変わらず続いたままの状態。
さらに、強制給餌をしていても、今度はa/d缶すら口にしてくれなくなってきたので、不安になった私は、また前回かかった病院へレオを連れて行きました。
病院では、前回寄生虫がいないことを確認していたので、便の検査はなく、食欲不振の症状を伝えて、ブドウ糖を点滴してもらいました。
そして、下痢がまだ治らないことを伝えて出されたのが、下痢止めの飲み薬。
その薬がレオの命を奪ってしまうことになるなんて想像もつかなかった私は、獣医さんに言われるまま、翌日からレオに下痢止めを飲ませ始めました。
続く食欲不振と白い便
翌日から下痢止めを飲ませ始めると、レオの下痢はぴたりと止まりました。
そして、その日の夕方に形のある便が確認できました。
しかし、その便は普通の便とは違っていて、まるで猫が吐く毛玉のように白かったのです。
また、下痢が止まったのに食欲不振が治らず、強制給餌をしても食べることを拒否してa/d缶を吐きだしてしまうのも気にかかる点でした。
そんな姿を不安に思った私は、保護主さんに現状を報告すると、「新しい環境でストレスもあるかもしれないから一度私の家で預かる」と言ってくださったので、翌日からレオが元気になるまで保護主さんのおうちで引き取ってもらうことに決めたのです。
保護主さん宅でガツガツご飯を食べるレオ
次の日に、保護主さんのお宅にお邪魔し、レオの現状を見せると早速保護主さんがおうちにあったa/d缶をあげてくれました。
すると、我が家にいたときではなかったほどの食いつきようで、ガツガツとa/d缶を食べたのです。
その姿を見て、やっぱり慣れない家だったからストレスが原因だったかもしれないと2人で話し、約束通りレオが元気になるまでおうちで預かってもらうことにしました。
しかし、これがレオと触れ合えた最期でした。
2日後にレオが亡くなった連絡を受ける
(※写真は遺体ではなく、眠っているときのものです)
その2日後、勤務中にいきなり保護主さんから電話をいただき、伝えられたのはレオが亡くなったという報告でした。
私が帰った後、保護主さんは夕方にまたa/d缶をあげたそうですが、レオは昼間とは打って変わって私の家と同じように食べるのを拒否していたそう。
そして保護主さんも強制給餌や点滴を行ってくださったのですが、衰弱がひどくて命を落としてしまったとのことでした。
保護主さんはまだレオの遺体を取っておいてくださったので、その連絡を貰った日、仕事が終わると私は保護主さん宅に行き、冷たくなったレオの前で泣きながらごめんねと謝りました。
ボランティア経験の長い保護主さんによれば、死ぬ前にガツガツとごはんを食べるという猫は意外と多いようです。
もしかしたら、保護主さん宅に連れて行ったときに今までにないほどご飯を食べてくれたのは、レオなりの死への決意だったのかもしれません。
こうした体験から、ご飯をいきなり食べるようになったからといって「もう大丈夫」と安心したり、油断したりしてはダメだということをレオに教えてもらったように思います。
下痢の時に下痢止めを与えるのはNGの場合も!
その後、コタロウというキジトラを迎え、この子にもレオと同じようにカレーのような下痢が見られたので、今度は保護主さんから紹介していただいた病院へ連れて行きました。
そこで、寄生虫の検査をしてもらった結果、お腹の中に虫はいないという結論でしたが、寄生虫の中にはある程度大きくならないと検査結果に出ない虫もいるので、念のため、虫下し薬を飲ませてほしいといわれました。
そして、その病院でいわれたのが子猫が下痢のときに下痢止めで便を止めてしまうのがいけないことだということ。
獣医さんによれば、便で体の外に寄生虫などの悪いものを出そうとしているところに、下痢止めを与えてしまうと体の中に有害なものが溜まって、排出できなくなってしまうそうです。
その話を聞いた時に、私はレオが亡くなったのは下痢だからといって、安易に下痢止めを飲ませてしまったことが原因なのでは?と感じてしまいました。
現に、寄生虫が確認されなかったコタロウは2週間きっちり虫下し薬を飲み切る頃には、下痢も止まり、ミルクチョコレート色をした普通の固さの便になりました。
少しでも疑問を持ったら動物病院を変えよう!
レオの命を奪ってしまった直接の原因は、いまだに分からないのですが、今でも私にとっては下痢止めを与えてしまったことが少なからず命を落としてしまった理由のひとつに思えています。
こうした悲しい経験をしないためには、信頼できる動物病院を選ぶことが大切です。
専門的な知識を持っている獣医さんの判断は、私たち素人からすれば全て正しいことのようにも思えるのですが、中には愛猫の症状をきちんと見てくれていない人もいるのが事実。
だからこそ、病院にかかっても症状が改善しなかったり、少しでも治療法に疑問がある場合はセカンドオピニオンで別の病院を訪ねてみることも大切なんです。
大切な愛猫の症状は飼い主さんが一番よく知っているからこそ、納得できる治療を行ってくれる動物病院選びをしていきましょうね。