野良猫などはお外の厳しい環境の中で生きているため、保護した時、お腹の中に寄生虫がいることも多いもの。
そんな寄生虫の中でも怖いのが「コクシジウム」と呼ばれる寄生虫です。
コクシジウムは他の寄生虫よりも治療をするのが厄介な寄生虫だからこそ、今回は私自身の体験談からコクシジウム症への対処法を詳しくご説明していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
そもそも「コクシジウム症」ってなに?
コクシジウム症は、「コクシジウム」という原虫が腸管に入り込むことで起こる病気です。
具体的な症状が出ない「潜伏期間」と呼ばれる時期が一週間程度あるため、飼い主さんの発見が遅れることも少なくありません。
コクシジウムが他の寄生虫と違うポイントは、体内の中で分裂して増殖するということ。
主に猫へ寄生するのは「イソスポラ・フェリス」という寄生虫だといわれています。
この病気は健康な成猫の場合は、目立った症状が出ないことも多いのですが、大量に寄生された場合や強いストレスを抱えている・免疫力が弱い・子猫の場合は命に危険が及び、特に生後6ヶ月未満の子猫はストレスが原因で症状が悪化してしまうことも。
主な症状は、血が混じった便や白いドロっとした粘膜が便についた粘膜便・食欲不振・貧血・脱水症状などパルボウイルス腸炎に似ているのも特徴です。
コクシジム症は、症状が出てから1週間~10日程度で快方に向かうことが多いのですが、中には細菌性の腸炎を引き起こしてしまう恐れもあるため、「サルファ剤」などを1週間投薬することで治療していきます。
コクシジウム症になってしまう原因とは?
コクシジウム症は、コクシジウムの卵が含まれた便を口にしたり、便に触れた部分などを舐めることで感染します。
体内に侵入したコクシジムは「小腸上皮細胞」というところへ侵入し、増殖。
そして便の中に分厚い殻に包まれた「未成熟オーシスト」という卵を出します。
卵は排出されてすぐは感染力を持っていませんが、3~4日経つと強い感染力を持っているため、便を口にしたり、トイレ後に便に触れた部分を舐めたりすることで感染してしまうのです。
実体験を元に発覚した症状と対処法とは?
現在、1歳になるキジトラのコタロウは、保護団体から譲っていただいた子なのですが、うちに来たその日から下痢が見られるようになりました。
初めは、どの寄生虫がいるのかわかりませんでしたが、動物病院で調べてもらった結果、コクシジウム症にかかっていることが分かり、治療を開始しました。
これからご紹介する体験談は、あくまでうちの子猫の場合ですので、必ず改善するかはわかりませんが、参考にしていただけると幸いです。
コクシジウム気づいたきっかけは粘膜便
保護猫は寄生虫にかかっていることが多いということをあらかじめ知っていましたが、コタロウの場合は下痢といっても、カレーのようなドロっとした便が出るだけでなく、便の周りに白い粘膜のようなものがついており、「いつもと違う便だな」と心配になりました。
そして、食欲旺盛の子猫なのにまったくごはんやお水を口にしなくなったので、命の危険があると感じ、病院へ連れて行こうと決意しました。
その場でとった便でコクシジウム症が発覚!
寄生虫がいるかどうかを調べるときには、便が必要だと知っていたのであらかじめ自宅で便を取って、動物病院へ。
しかし、獣医さんからその場で便を採取したほうがどの寄生虫にかかっているかが正確に分かるといわれ、その場で綿棒をお尻の穴に入れて便を採取してもらいました。
その結果、便の中に卵のようなものは見られなかったのですが、コクシジウムがいる可能性が高いといわれ、サルファ剤を飲ませることに。
また、病院に連れて行ったときは脱水症状があり、げっそりしていたので点滴をしてもらいました。
自宅で1週間の投薬治療|なかなか飲んでくれず焦りが募る…
翌日からは、病院で出してもらっサルファ剤を朝晩の1日2回飲ませることに。
その頃は猫に薬をあげたことがなかったため、錠剤タイプだとうまく飲ませられないと思い、液体のお薬を出してもらいました。
サルファ剤は「シリンジ」という、針のない注射器を使って飲ませるのですが、コタロウは嫌がって口を開いてくれません。
ためしに、ウエットフードにも混ぜてみたのですが、においを嗅ぐだけ…。
なかなか飲んでくれないコタロウを見ていると私自身にも苛立ちと焦りが募ってしまい、どうすればいいのかひとりで悩んでしまったことも少なくありませんでした。
ササミを活用して虫下し薬を飲ませることに成功!
そんなとき、保護団体の方から「ゆでたササミは食欲がないときでも猫が食べてくれやすい」という話を聞いたことを思い出しました。
そこで、ウェットフードにサルファ剤を混ぜるのをやめ、ササミにつけてあげてみることに。
すると、ササミはにおいが強いせいか、それまでウェットフードに興味を示さなかったコタロウも食いつきがよくなって、サルファ剤を付けても嫌がらずに食べてくれるようになりました。
ササミは、忙しくてゆでる時間がないときは小さく切り、ラップで包んでレンジで3~4分温めればよいという手軽さも大きな魅力でした。
多頭飼いの場合は、他の猫への配慮も大切!
コクシジウム症の怖いところは、感染している子の便などを触ってしまうと、他の子にも感染が広がってしまうことです。
その頃、我が家にはコタロウの他にマンチカンの「ジジ」がいたので、感染が広がらないようにコタロウだけをケージに隔離。
100均一で購入した水切りカゴをコタロウ専用のトイレにし、ジジが触ってしまわないように気を付けました。
ネットの体験談の中には、よくコクシジウムが出たらトイレを熱湯消毒したり、重曹を使って掃除をした方がいいなどの意見がありますが、我が家の場合は重症化する前だったり、早めに虫下し薬を飲ませたおかげか、結構ゆるめな対策でも駆除することができました。
ただし、トイレで便をしているのを見かけたらすぐに便を捨ててたり、下痢で汚れた部分をすぐにウェットティッシュで拭く、トイレの砂を2日に1回くらいで交換するということは意識をしながら行っていました。
また、そのときに使用したトイレは、コクシジウム症が治った時点で捨てるのも再感染させないために大切だと思い、完治後に処分することに。
さらに食器から感染が広がる可能性もあるという話をきいたことがあったので、キャットフードを与えた後は必ず容器を熱湯消毒することも心がけました。
重症化してしまったときはアンモニア溶液がおすすめ★
我が家では比較的軽症で済ませることができましたが、重症化してしまった場合はよりこまめにケージ内を掃除しましょう。
コクシジムは便に出された直後は感染力を持っていないという特徴があるので、感染を広げないためにはトイレ掃除をこまめに行うことが大切になります。
また、コクシジムはアルコールなどには強いですが、アンモニア溶液に弱いという特徴があるので5%のアンモニア溶液を使ってケージの中やトイレを掃除するのもおすすめです。
コクシジウム症は早期発見が大切★
コクシジウム症は、重症化すればするほど猫の体力を奪ってしまう恐ろしい病気です。
子猫がかかりやすい病気だからこそ、いつもより食欲がないと感じた、血便・粘膜便などが見られた場合は早めに病院へ連れていきましょう。
また、サルファ剤も症状が改善したからといって勝手にやめずに、1週間きちんと飲ませ切ることが大切ですので、ぜひ獣医さんの指示に従いながらおうちでお腹の中にいる寄生虫を退治してあげてくださいね!